「よっぽど寒かったのか」リュックを開けると自ら入った姿が話題になった野良猫 保護されたが…2週間後に虹の橋を渡る 

渡辺 晴子 渡辺 晴子

「よっぽど寒かったのか持っていたリュックを開けるとなんと自らリュックの中にはいってきました。」

2月初旬、保護時にリュックを開けたら中に入り込んで暖を取る野良猫がTwitter上で話題になりました。投稿したのは、東京都足立区の大師前どうぶつ病院さん(@6pikuuOTUnIU9W6)。同病院の獣医師らが近くの公園で心細そうに鳴いていた野良猫を保護していたところだったとか。寒さに耐えられなかったのか、持ってきたリュックに野良猫自ら入ってきたそうです。

そんな野良猫の姿に「猫ちゃん、お外つらかったね」「保護されて本当に良かった!」「幸せになってほしい」と、感激する人たちからコメントが寄せられました。しかし…この日保護されてから2週間ほど経って、野良猫は虹の橋に渡りました。最期は、温かい人たちに見守られながら息を引き取ったといいます。保護されてから虹の橋に渡るまでのわずかな時間を一緒に過ごしたという同病院のスタッフさんにどんな猫ちゃんだったのか、お話を聞きました。

公園でか細い声で鳴いていた高齢猫 歯は1本もなくやせ細っていた

――猫ちゃんのお名前は?

「保護した公園の名前に似せて、『おとね』と付けました。年は推定13、14歳くらい。女の子でした」

――保護したときのことを教えてください。

「犬の散歩途中におとねがいました。近くに寄ると逃げずにか細い声で鳴いたので、いったん犬たちを車に置きに行き、車に積んであった毛布を持って戻りました。先生(獣医師)が背負っていたリュックをおとねの前で開けたらそっと立ち上がり、リュックに入ったのでそのまま保護しました。風がとても強く隠れる場所がない公園だったので、よほど体力の限界だったんだと思います…」

――当時のおとねさん、どんな状態だったのでしょう?

「通常だと3キロ以上の骨格ですが保護時は2.2キロしかありませんでした。歯は1本もなく犬歯部分は膿んでました。腎数値も高く貧血でもありました」

――とはいえ、一時は食欲もあったり歩くようになったりしたそうですね。容態が急変したのはいつごろでしょうか。

「急変したのは保護から2週間後です。保護してからは食欲がある日とない日があり落ち着かない状態でしたが、立って歩くようになったり、高いところへジャンプしたりと回復傾向にありこのまま安定してくれればいいと思っていた矢先でした。ご飯を食べなくなり、夜になって発作を起こしICUにて治療をしていましたが朝方(16日午前6時ごろ)息を引き取りました」

――大師前どうぶつ病院では、おとねさんのようなお外の猫ちゃんたちを保護されているとか。

「病院全体で保護活動をしています。それと同時に、保健所など行き場を失った犬猫の譲渡をはじめ、虐待など飼育放棄された子の保護・譲渡などにも取り組んでおります」

――活動を始めたきっかけは?

「アニマルウェルフェア(動物福祉)を基準に全ての動物たちが豊かに暮らしてくれる世の中になってほしいと願いながら、私たちは活動を始めました。そのためには今個人で頑張っているボランティアさんや団体さんはもちろんのこと、今まで動物に関わっていなかった一人一人が保護をしたり医療を受けさせ馴らして飼ったりという行動を起こしていけることが理想です。

ですから、病院も一歩を踏み出そうとしている方々の手助けやサポートができればと思っております。おとねのような野良猫がいなくなる日がくるのを願って活動を続けて参ります」

「大師前どうぶつ病院」のホームページ

大師前どうぶつ病院のTwitterアカウント(@6pikuuOTUnIU9W6)

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