チェーン店で「せんべろ」チャレンジ 第1回目は『吉野家』
懐深きチェーン店なら、千円札1枚でも充分満足させてくれるはず!そんな希望を胸に、お酒とつまみを愛するライターがあらゆるチェーン店でリアルな「せんべろ」に挑戦します。
第1回目は吉野家。近年はちょい呑み用のメニューを備えた「吉呑み」サービスも展開していますが、店舗や実施時間が限られているため今回は通常利用で。
混み合うランチタイムを外して吉野家を訪問。なるべくほかのお客さんのお邪魔にならぬよう「2階席でもいいですか?」と聞いたところ「どうぞ〜」と受けてもらえてホッ。
しかし、ここでいきなり誤算が。
「お2階に上がられる前にご注文をお願いします」ですってー。
じっくりとメニューを眺めながらせんべろ計画を立てるつもりだったので大いに焦ります。
ここで「え、え、じゃあ、牛丼(並448円)とビール(瓶486円)で」などと言ってしまうとゲームオーバーなのは察することができたため、メニューの一部をさっと確認し、ひと呼吸置いてファーストオーダーを告げます。
(……えっ、それだけ?)と言いたげな店員さんに少し申し訳なさを感じつつ無事2階席へ。
あっという間に第一陣がやってきました。
最初の一手はこの3品。
◎冷酒 376円
◎牛だく(牛小鉢) 184円
◎お新香 140円
※すべて税込(以下同じ)
吉野家に来たからには牛は必ず食べたい。でも牛丼はもとより、牛皿も369円と非常に高価。そんな我に救いの手を延べてくれたのが小鉢の存在でした。
本来はきっと牛丼のアタマをマシマシにしたい吉野家好きにとって欠かせないメニューなのでしょうが、図らずも一人飲みの名伴奏に。
そして白菜のお新香、あっさりとして好きなんですよね。
さらりとして飲みやすい冷酒で喉を潤し、吉野家せんべろのスタートです。
ベジファーストを意識して(?)、飴色にタレが染みた玉ねぎからいただきます。
あー、吉野家の味っ。この玉ねぎだけの小鉢もあったらいいのにな。小鉢なのに思った以上に牛肉が入っていて嬉しい。この先、うまく配分して食べなきゃ。
さて、ここまでの合計金額は……
合計700円。
残り予算300円を子どもの頃の遠足おやつ気分でじっくり吟味することにします。
お品書きで大々的にアピールされた丼や定食はスルーし、最下部にずらりと並ぶ愛しい小鉢たちを眺め回します。
これも視線は左下にひっそり潜むお酒チームに。しかし、予算的にはおかわりは無理なのです。ごめんよ、酒。
スマホの計算機アプリを片手にあれこれ試算した結果の第二陣は!
◎納豆(ネギ、辛子付き) 118円
◎半熟玉子 96円
◎のり 74円
記念すべき第1回目、納豆はどうしても食べたかったんです。
なぜなら、せんべろ本家の作家・中島らもさん(※1)が「ニラミ納豆」なるせんべろ飲みを考案されていた伝説にあやかりたくて。
お金がないときに納豆だけを頼み、食べずにニラみながら安酒を飲んだというらも師匠。私はパクパク食べちゃいますけど、この先のせんべろ道をどうかお導きくださいね。
全品が出揃ったので、あとは自在に食べて飲むだけ。
そして最終形態はこうなりました。
ここでご飯を頼んで半熟玉子を絡めた牛肉をぶっかけたい衝動と戦い、どうにか勝ち越しました。がんばった、私!
牛玉、のりネギ入り納豆、お新香を順番にちまちまとつまみ、冷酒を舐めるように飲んでご馳走さまです。
さてさて、合計金額はどうなりましたでしょうか。
合計は988円!
無事、1000円内で収めることに成功〜。
少しずつあれこれ組み合わせて食べたおかげか満腹感もあり、初手から日本酒を飲んだため酔いもほどよくゴキゲンです。チェーン店せんべろ、予想以上に楽しいものとなりました。
吉野家せんべろ、まとめの一句。
吉野家は
小鉢豊富で
飲みに向く
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※1「せんべろ」とは、「千円でべろべろになるほど飲める店」のこと。
酒と共に生きた無頼派作家・中島らもさんのルポエッセイ『せんべろ探偵が行く』(小堀純さんとの共著/集英社)が発祥の言葉とされています。
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【書いた人】
酒食系ライター 泡☆盛子
京都在住30年余で約50kg増量したのが自慢。体重に反比例して極スリムな財布と相談しつつ、いかに楽しく飲んで食べるかを模索する毎日です。