牛や豚と遜色ない美味しさ、代替肉「ミールワーム」ってどんな味? ミンチ状にしてハンバーグやソーセージの原料に

京都新聞社 京都新聞社

 小動物の生き餌に使われる「ミールワーム」を代替肉の原料として育てる実証実験に、京都府立大などが出資するベンチャー企業が取り組んでいる。ミールワームはミンチにしてハンバーグなどの加工品にすることを想定しており、牛や豚と比べても遜色ない味わいと高い栄養価が得られるという。畜産よりも飼育時の環境負荷が低く、持続可能な資源として活用を目指している。

 府立大は自然栽培関連企業の「アグバイオテック」(東京都)と共同出資で、2022年6月に「未来食研究開発センター」(木津川市)を設立した。新たなタンパク源としての昆虫食の開発で、代替肉の候補として選んだのが、飼育が容易で約3カ月の短期間で食用段階に成長するミールワームだった。

 甲虫のチャイロコメノゴミムシダマシの幼虫であるミールワームは、成長に水がほとんど要らず、クリアケースで飼育できるため場所も取らない。これをミンチ状にして、ハンバーグやソーセージの原料として需要を見込んでいる。

 同センターによると、ミンチは「牛や豚の肉に、かつお節やエビの風味が混ざったような味わいで、肉らしい弾力感もある」。イベントなどで試食した市民からは「普通においしい」との感想が聞かれるという。栄養価についても、タンパク質や不飽和脂肪酸を豊富に含むとする。

 ミールワームの飼育に当たっては、野菜くずや酒造工程でコメを磨く際に出るぬかを餌に用いる方法を試しており、ふんを自然栽培での肥料として使うことも模索している。

 畜産は大量の穀物と水が必要で、牛のげっぷに含まれるメタンガスでさらなる温暖化も懸念される。一方、世界的な人口増加によって将来的に動物性タンパク質が不足するとの見方もある。同センター社長を務める増村威宏・府立大副学長は「食品ロスをなくし、新たな食品を育てる発想で未来の食を考えたい」としている。

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