「最近、セミセルフレジが増えてきました。迷惑行為が多いので聞いてもらいたい」。京都新聞の双方向型報道「読者に応える」にスーパーマーケットのレジ係を担当する女性から投稿が寄せられた。確かに、最近会計だけを自分で行うレジが増え、不慣れのために戸惑う人は多そうだ。どういったトラブルが起きているのだろう。
投稿者の女性(44)=京都市上京区=は、中京区のスーパーでパートとして勤務している。勤務先ではレジ係が購入商品のバーコードを読み取って登録し、会計は機械で客が行うセミセルフレジが導入されている。
商品のバーコード登録から会計までを客自身が行う「セルフレジ」とともに、セミセルフレジは近年、急速に普及が進んでいる。背景には人手不足がある。
女性がまず挙げたのは、レジでの買い物かごをめぐるトラブルだ。セミセルフレジでは通常のレジ同様、客がレジカウンターに買い物かごを載せなければならない。しかし、カートにかごを載せたままカウンターにかごを置いてくれない客がいるという。
「『載せて』って言う人もいるし、『やれ』と言わんばかりの人もいます」と女性は話す。買い物かごにはミネラルウオーターのペットボトルやコメなどの重量物が入っている場合もある。レジ係はそうした客を何人も相手にしなければならず、腰を痛めるレジ係は少なくないという。
さらに会計機を巡ってのトラブルも続発している。セミセルフレジの場合、レジ係がバーコードを読み取った買い上げデータを転送した会計機を番号で案内する。「お会計は2番でお願いいたします」という具合だ。客は指定された会計機で自ら会計をしないといけない。
だが、レジ係の案内とは異なる会計機に向かう客や、仕組みが分からず精算をせずに帰ろうとしてしまう客がいる。また機械には硬貨の制限枚数が記されているにもかかわらず、多くの硬貨を投入し、機械を詰まらせてしまう人もいるという。
新型コロナウイルスの感染拡大防止で設置されているアクリル板を巡っても面倒が起きている。のれんをくぐるようにアクリル板の下から首を突っ込む人がいるほか、アクリル板にぶつかる人もいて板が破損することもしばしばあるという。
女性は「(アクリル板で)声が聞こえにくくて聞き直すと嫌な顔をするのはやめてほしいです。声が聞こえにくいのはお互いさまですから」とする。
スーパー事情をリサーチする「主婦っとサーベイ」の2人(伯井裕子さん、網島婦貴さん)は「スーパーはレジ係を懸命に募集しているが、集まらなくなっている。本来ならもっと人員の配置が必要だが、できていない。レジでのトラブルが起き、待ち時間が長くなると客のイライラが募り、よりトラブルが起きやすくなるという悪循環に陥っているのではないか」と指摘する。
一方で、来店客に対しても「『お客さまは神様』という意識をあらためる必要があるのではないか」と提言する。
レジの効率化や感染対策で登場した新たなスーパーの光景と言えるが、気持ちにゆとりを持って冷静に対処したいものだ。