「リビングで寝落ちしない」「腸内環境整える」…そんな抱負をボーナスに反映!? 「売上」の自己目標を禁止した会社に聞いた

塩屋 薫 塩屋 薫

神戸発の人気コーヒー店「萩原珈琲」(本社:神戸市灘区)の公式Twitter(@hagihara1928)で、ユニークな社内の取り組みが紹介されました。「ただいま自己評価を発表中。自己目標は売上などは禁止。健康への取組や、やりたいことの実現、笑顔を絶やさない。などから労働生産に繋げる仕組みです」と、会社らしからぬ評価方法に驚きです。

その理由について「楽しみがないと毎日続けられませんよね。毎日続けながら社内共有アプリで報告。さて、半年後の結果は?自分で評価してね」とのことで、その成果は賞与にも反映されるそう。ほかにも、どんな目標が掲げられているのか、そして取り組みの意図について、代表取締役・CEOの萩原英治さんに詳細を教えてもらいました。

社員が「楽しく、遊び心を持って働く」登場人物に

――どのようなきっかけで、この取り組みを始めたのでしょうか?

20年後をターゲットに人口減少に向けた減収増益を目指すなかで、売上目標をやめて、労働生産性を目標としております。その取り組みとして「賞与評価ベクトルを相互方向」に向けるために、2020年1月に開始しコロナ禍で中断していたのですが、2023年1月に再開しました。

「頑張っているのに会社に評価されない」などの気持ちの部分で摩擦を起こすより、「楽しみと遊び心」を取り入れた目標を設定することで、「ここは頑張れた!」と自身で気づくことが大切だと考えています。

そこで基本賞与に加え、(1)会社からの査定(2)社員自らの評価(3)社内投票制度(客観的評価)を設け、方向性を双方向+1の3軸(方向)評価としました。自立・自発・創造力・自治を通じ社員が主要な登場人物になればと思っています。

――現在はどれぐらいの社員さんが参加されていますか?

期間は半年ごとで、任意でやりたい人が参加し、現在18名中17名が参加しています。

――仕事以外での目標設定が興味深いです。これまでに、ユニークな取り組みはありましたか?

いくつか例を挙げると、「得た知識を短い言葉で共有する練習」は、読書で知識をインプットし、それを200文字で社内アプリにアウトプットする取り組みです。「腸内環境を整え、美味しい食事をとり、前向きに仕事をする」は、ヤクルトなど乳酸菌飲料を飲んだ日は、カレンダーに蓋を貼り付け、週1回社内に共有する取り組みも。

また、子どもと一緒に寝落ちすることが多く、翌朝バタバタと出勤してしまうという人は、「余裕を持って家族時間・仕事時間を過ごしたい」という思いから、リビングに「寝落ちゼロメーター(黒板に〇日達成/31日)」を設置。寝落ちしなかった回数を社内で毎週共有しています。

――どれも生活習慣の見直しにつながりそうですね! 評価はどのように?

「スラック」という社内共有アプリで自己評価します。まず「キックオフ会」で目標と取り組みの共有方法を発表し、3カ月で中間報告、半年後に自己評価を発表するプレゼンの場があります。なお、自己評価なので社員が決めたA~D段階の評価を誰も変更することはありません。

――過程を社内共有していると、ごまかしにくいですね…。賞与にも反映されるとか?

賞与への反映はこれからです。自己評価ですが、基本賞与をA評価+10%、B評価+5%、C評価-5%、D評価-10%と設定しています。

――この取り組みをする事で本業への影響は?

会社自身も売上目標を設けていないので、あくまでも労働生産を上げるための取り組みの内のひとつです。そのために「社員が楽しく、遊び心を持って働く」。その上限を広げられたらと考えています。結果として、新たな発想が生まれたらいいですね。最近は会社のにわかミーティングなどに、部署の垣根を越えて積極的に参加する社員が増えてきました。

◇ ◇

「萩原珈琲」は1928年に創業し、「J.C.Q.A.(全日本コーヒー検定委員会)認定コーヒー鑑定士」の高度な知識で、生豆の仕入れから焙煎、品質管理、包装に至るまで管理。こだわり炭火焙煎の味わいが楽しめる神戸市・大阪市の直営6店舗ほか全国でイベントも展開し、「バレンタインブレンド2023」(2023年2月14日まで店頭&オンライン販売)など、期間限定品にも注目です。

「萩原珈琲」
■公式Twitter https://twitter.com/hagihara1928
■公式サイト https://www.hagihara-coffee.com/

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