「2類」ではない現状 新型コロナなぜ分類変更が必要なのか?(1)

「明けない夜はない」~前向きに正しくおそれましょう

豊田 真由子 豊田 真由子

現状、新型コロナは「2類」ではない

新型コロナの分類変更について、よく「2類から5類へ」という言い方をされますが、現在の新型コロナの感染症法上の分類は、「新型インフルエンザ等感染症」であって、「2類」ではありません。

新型コロナは、新たな感染症の取扱いとして通常そうであるように、発生当初はウイルスの性質等がよく分からなかったこともあり、「指定感染症」とされていましたが、2021年の感染症法改正で「新型インフルエンザ等感染症」に変更されています。

そもそも「新型インフルエンザ等感染症」というのは、新型インフルエンザのようなパンデミックを引き起こす感染症に対しては、「2類」という枠組みでは十分な対策が講じられないという問題があったため、2008年の改正で、感染症法上新たに設けられた類型です。

さらに、2009年の新型インフルエンザパンデミック(H1N1)に際しての混乱を踏まえ、各種対策の法的根拠を明確化し、実効性を確保することを目指し、2012年「新型インフルエンザ等対策特別措置法」が新たに制定され、緊急事態宣言等の措置を取ることが可能になりました。「2類」とは、実施できる対策にも大きな違いがありますので、「2類相当」という言い方も、正しくありません。

おそらく、メディアの方々は、報道に際しては、できるだけ短く単純で分かりやすく、というご判断があるのだと思いますが、法律的に趣旨や内容が違うものはやはり違いますし、上記のような経緯もあることなので、国民の権利や自由に大きく関わる問題として、ここは少し丁寧な説明が求められるところだったのではないかと思います。

次回以降、分類変更の方向性、適用される対策の変化や、公費負担の在り方など、国民生活への具体的な影響について考えたいと思います。

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