医師に聞く意外と知らない『顔面麻痺』原因と症状の違い 「脳卒中」との見分け方も

ドクター備忘録

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顔の筋肉が動きづらくなる「顔面麻痺」という病気ですが、実は、ウイルス性や外傷性など原因はさまざま。さらに、突然起こる可能性が高く、なかには後遺症が残る人もいるのだそう。意外と知られていない「顔面麻痺」の詳しい症状とその原因について、吉田病院付属脳血管研究所(神戸市兵庫区)の吉田泰久院長に詳しく聞きました。

――顔面麻痺とは、どのような症状が出るのでしょうか?

まず初めに挙げられるのが「顔の左右半分が歪む」という症状です。口元やおでこ、目元が垂れたり、目が閉じられなくなったりする症状が見られます。

――症状は突然起こるのですか?

怪我が原因の場合もありますが、突然起こることがほとんどですね。

――後遺症は残るのでしょうか?

およそ8割の方が完治し、残り2割の方に後遺症が残ることがあります。

――事故などの怪我以外の原因は何なのでしょうか?

多くの場合が原因不明の突発的な発生だと言われています。予兆があるわけではなく、症状が徐々に悪化していくため、どの段階で気づくことができるかということになります。顔面麻痺のなかでもっとも多く見られるものが「ベル麻痺」と呼ばれる症状で、おそらくヘルペスウイルスが原因だろうと言われています。一度発症すると、原因となったヘルペスウイルスは神経に残り続け、体調不良を起こした際に症状が表に出てくるというもので、いわゆる「熱のはな(口唇ヘルペス)」と同じですね。

――「ハント症候群」が「ベル麻痺」の次に頻度が多いと言われているのですよね?

そうですね。耳元にブツブツができる帯状疱疹(たいじょうほうしん)によって発症するもので、「ハント症候群」の方がより症状が重く、治りづらいとも言われています。

――脳卒中が原因で顔面麻痺になることもあるのですよね?

脳卒中によって引き起こされる顔面麻痺は「中枢性顔面麻痺」と呼ばれ、ベル麻痺やハント症候群とは症状が少し異なります。脳卒中が原因となる場合はおでこの麻痺は起こらず、口元の麻痺が主となります。症状の違いによって脳卒中を発症しているかどうかは判別できますが、念のため、MRIを撮ることもあります。その結果、ベル麻痺が原因であった場合はステロイド剤という炎症止めを使用します。

――顔面麻痺が起こった場合は、何科を受診すればよいのでしょうか?

専門は耳鼻科なのですが、脳との関連や脳卒中などが疑われる場合は脳神経科を受診していただくこともあります。

◆吉田泰久 社会医療法人榮昌会 吉田病院 / 理事長兼院長 /
1952年12月の開設以来70年近くにわたり、神戸市の救急医療のなかでも脳卒中患者の診療を主に担い、急性期から回復期、在宅まで一貫した脳卒中治療を提供している。
診療科は、神経外科、脳神経内科、内科、循環器内科、リハビリテーション科

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