「昼メシ何?」にイラつく妻と「こんな女だったっけ」と嘆く夫 70代夫婦のストレスをゼロにする方法

松田 義人 松田 義人

 

定年リタイヤ後の70代夫婦は、何かとギクシャクする……こんな話や実例をよく耳にするようになりました。

それまで夫は、家族のために必死に働き通した自負を持ち、それまでの妻もまた、家族のために必死に夫を支え、家庭を守り抜いた自負を持つことは多いもの。結果、互いに「夫・妻として『こうあるべき』」という考えがあるものです。

この考えのすれ違いから、お互いに顔を合わす時間が多くなった70代になってギクシャクする夫婦が多くなるように思いますが、どうやら、夫婦のストレスの原因はそれだけではないようです。

こんな70代夫婦に起こりやすいストレスの原因と解決策、そして「夫も妻も、それぞれが、より楽しく幸せな後半生を生きるためにはどうしたら良いか」を優しく解説した本が登場しました。『70代は男も女もやりたいことをおやりなさい』和田秀樹・著(KADOKAWA)という本です。

 

70代夫婦のギクシャクは「性ホルモンの変化」が大きく影響

著者の和田秀樹さんは、精神科医として、これまでに6千人以上もの高齢者の「心を体の健康」と向き合ってきました。その著者が「70代夫婦のギクシャク」の原因と対策について優しく解決し、快適に生きるためのコツが多く解説されています。

「70代夫婦のギクシャク」が起こる原因は、冒頭でも触れた「夫と妻の考え方の違い」も含まれる一方、それだけではなくこの世代特有の「あること」もその一つだと解説しています。

「70代以降の方たちを見てみると、男性よりも女性のほうがあきらかに元気で活動的に感じられます。

<中略>

なぜ、このような男女差が起こるのでしょうか。

その差は、加齢による『性ホルモンの変化』が大きく影響しています。

性ホルモンとは、人間の体内にある男性ホルモン(主にテストステロン)と、女性ホルモン(主にエストロゲン、プロゲステロン)のことです。

男性ホルモンは、いわゆる男らしさをつくるホルモンで、『元気ホルモン』と呼ぶ人もいます。筋肉質でがっしりとした骨格など、男性的な体格へと成長を促すほか、性欲やバイタリティを高めてくれます。

その影響は肉体のみならず、精神面にもおよびます。物事に対する意欲や好奇心を高め、記憶力や判断力の向上にも一役買ってくれています。

また、『外に向かう力』を生み出すことから、攻撃性が高まる一方、社交性も増し、人付き合いを盛んにするようになります。

いわば『活力の源』とも言える男性ホルモンですが、男性は中年期を境に分泌量が減少してしまいます。

一方、女性は更年期を過ぎると女性ホルモンの値は低下しますが、男性ホルモンの量が増加します。女性が高齢になればなるほど、元気でアグレッシブになるのは、男性ホルモンが以前より優位になるからだと言えます」(本書より)

70代夫婦(男女)が快適に生きるコツとは?

 

こういった加齢に伴うホルモンバランスの転換を、本書では「男と女の大転換期」としています。これを嘆くのではなくむしろ楽しみながら、結果的に「70代夫婦」にとってストレスのない生活をおくるためのコツを紹介しています。その見出しの中で興味深いものを抜き出してみましょう。

 【70代夫婦(男女)が快適に生きるコツ】
■夫・妻の仮面は捨てて自分第一で生きる
■70代夫婦は寝室を分けて熟睡しよう
■起床と就寝時間は相手に合わせない
■一家団らんのリビングより個室が必要
■ひとりの空間と時間が一番の心の栄養
■稼いで感謝されて元気になる
■家事も定年退職していい
■70代こそ「時短家電」を取り入れる
■日中の行き先は「秘密」がいい
■認知機能を高める「ポジティブ変換会話術」
■ほめ言葉でドーパミンを増やす
■イメチェンで老化防止
■お金を使うには知性と創造性が必要
■70代は見た目が大事
■それでもダメなら熟年離婚
■恋愛のときめきは最高の若返り法
■異性の友達とのデートも若返りの源
■性欲は元気の源、抑えなくていい
■スキンシップでオキシトシンを分泌

これらの見出しだけでも興味深いものばかりですが、各項に対し、さらに優しく読みやすい筆致で解説しています。

年末年始はこの本と一緒に帰省するのも◎

言うに及ばず、これらは「70代夫婦のギクシャク」を解決するために紹介されていますが、本書を企画した担当編集者は30代。どうしてこのようなテーマの本を制作するに至ったのかと読者へのメッセージを聞いてみました。

「もともと本書は、私の父(74歳)と母(73歳)の姿を見て『これは何とかしないといけない……』と思い、老年精神科医の和田秀樹先生に出版のオファーをいたしました。

父は典型的な昭和の亭主関白。母は結婚して以来の専業主婦。六畳の和室で、朝から晩までゴルフ番組を流しっぱなしで、会話はぽつり。

和田先生に『これで人生楽しいんでしょうか?』と、最初のお打ち合せで質問すると、『夫婦ずっと一緒にいるから良くない。ひとりの空間と時間をもつことが、70歳からの人生を楽しむコツです』と、ズバッとご回答をいただきました。

ここから制作が始まりましたが、男性も女性も1冊を通して『気持ちよく読める表現』にこだわりました。例えば『料理もできない夫』と書いてあったら、男性は嫌な気持ちになると思います。そこで、本書では『定年前は料理を妻に任せていた夫』というようなフラットな表現にしています。実際に家事を妻が囲い込んでいただけで、定年後料理に目覚め、プロ顔負けの食事を作る男性もいるそうです。

70歳からの大切な後半生を日々窮屈に生きるか、それとも楽しく生きるかーーこの本には和田先生の経験知と、精神医学の視点から、70代男女がハッピーに生きる方法がギュッと詰まっています。

老親をもつ40~60代の子世代にもぜひ読んでほしいです。離れて暮らす両親が、日々楽しく暮らしてくれていたら、何よりの安心になるはず。年末年始はこの本と一緒に帰省して、実家のテーブルにさりげなく置いてくるのはどうでしょうか。

シニア夫婦、そして親を大切に思う、子どもの人生も充実する1冊だと思っています」(担当編集者)

『70代は男も女もやりたいことをおやりなさい』和田秀樹・著(KADOKAWA)
https://www.kadokawa.co.jp/product/322209001060/

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