コオロギや蚕のさなぎ、スズメバチなどを食べる「昆虫食」の体験イベントが10日、島根県出雲市佐田町であり、参加者は地域の新たな魅力に触れた。取材を担当した記者も恐る恐る昆虫食を食べてみた。
イベントは出雲市佐田町八幡原の企業「三原商会」の三島孝宜代表が、「昆虫食」を広める活動に取り組み企画した。
三島さんは2020年に「虫入り琥珀」をイメージし、イナゴのつくだ煮を閉じ込めた和菓子「太古の琥珀(こはく)糖」を和菓子店「坂根屋」(出雲市今市町)と商品化した。昆虫食に注目し、珍味が好きだったこともあり「食べてみたらおいしかった」とのめり込んだ。今回、多くの人に昆虫食を知ってもらいたいと気軽に楽しめるイベントを企画した。
イベントでは、三島さんが昆虫は良質なタンパク質やカルシウムを豊富に含み栄養価が高いといった食材としての特徴を伝えた。参加者はタガメサイダーを飲みながら、「太古の琥珀(こはく)糖」やコオロギやカナブンの素揚げなど計11食を味わった。
記者は小さいころ、サソリを食べた記憶があり、子ども心に嫌だった記憶だけが残っている。大人になってからはイナゴの佃煮を道の駅で買って食べた。本格的な昆虫食は今回、初めてトライする。
昆虫をおいしそうに食べる参加者の姿につられて、まずはタガメのエキスが入っているというタガメサイダーを飲んでみた。飲んでみると洋梨の香りと味がして、さわやかな感じがした。
続いて、キイロスズメバチの素揚げに挑戦した。体長約2センチで、黒くカリッと揚がったスズメバチからは香ばしい匂いがする。羽や大きな顎はそのままだ。スズメバチは人を襲ったりする獰猛なイメージがある。「毒は大丈夫なのか」と気になったが加熱調理をすれば問題ないという。
顔を引きつらせつつもとりあえず手を伸ばし、塩を付けて口に運んだ。カリッ、サクッとした食感。少しエビに近い味わいで、見た目以上に食べやすかった。「ゲテモノ」という印象が強かったが「お酒のつまみになるかもしれない」と思った。山陰両県は自然が豊かで、近年はシカやイノシシの肉といったジビエがブームになっている。昆虫食もブームになるかもしれないと思った。
三島さんは今後も昆虫を食べるイベントを月に1回開く予定で「昆虫食を地元の特産品にしたい」と意気込む。「昆虫食っておもしろそう」と興味がある人はぜひ参加してみてはいかがだろうか。