「コオロギせんべい」もう食べた?「ほぼ、えびせん」でおいしいと評判!無印良品が昆虫食に進出

鶴野 浩己 鶴野 浩己

大手では初の昆虫食

新食品として、巷でじわりと注目を集めている昆虫食。たんぱく質を中心に豊富な栄養素を備えていることから、サプリメントや漢方などの健康食品としても注目されている。

とはいえ、これまで昆虫食の生産販売を行ってきたのは、主に新興企業。一般にはまだまだなじみが薄い昆虫食を、あまり聞いたことのない会社が作っているとなると、消費者としては手を出しにくいのが本音ではないだろうか。

そんな昆虫食販売に大手が参入した。販売するのは、無印良品を展開する良品計画。商品名はそのものズバリ「コオロギせんべい」だ。

香ばしくておいしい

使用するのは、昆虫食に詳しい徳島大学の研究をベースに飼育された「フタホシコオロギ」。見た目の抵抗感をなくすために、コオロギは粉末状にして練りこんだ。また、コオロギそのものの味を活かすために、余計な原料を使わずにシンプルな配合に。食べた人からは「エビせんべいのようで食べやすい」「香ばしくておいしい」「ほぼエビせん」といった感想があがっている。

エビのような香ばしさが好評だが、実際、エビやカニなどの甲殻類と似た成分が含まれるため、当該アレルギーを持つ人には購入を控えるよう呼びかけている。

55グラム入りで価格は190円。国内の無印良品限定店舗とネットストアでの販売予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、ネットストアでの先行販売のみに変更。感染拡大の状況を見ながら、今後は国内無印良品の限定店舗でも販売する予定だ。

魅力が多いコオロギ

2050年には100億人になると予想される世界人口。現実味を帯びてきた、そう遠くない将来の食糧危機への対策として、国連食糧農業機関(FAO)も昆虫食を推奨している。そこで同社は、栄養価が高く、環境への負荷が少ない昆虫の中でも、飼育がしやすく成長が早いコオロギに着目。必要なエサや水の量が他の昆虫に比べて圧倒的に少なく、約35日というスピードで成虫になるからだ。

また、フタホシコオロギは熱帯性のコオロギで、湿度や温度を一定に保てば通年産卵させることができるため、生産量をコントロールしやすいメリットも。衛生的な環境で飼育することで、食用としての安全面もクリアした。

食品部の山田達郎さんは「単なるゲテモノということではなく、飼育における環境負荷の少なさや栄養価の高さなど、食用コオロギのコンセプトと魅力を伝えられれば世の中の役に立つのでは、と考えました」とコメント。コオロギせんべいを通して、食品分野での社会貢進める。

とはいえ、製品化に至るまでには様々な困難も。そもそも、コオロギを食材として使う概念がないため、製造を請け負ってくれる工場がなかなか見つからなかったという。

「話しすら聞いてもらえない状況が続きましたし、聞いてもらえた場合にも、なぜコオロギなのかというコンセプトを理解していただくこと、清掃やアレルギーの問題などハードルが多く、非常に苦労しました。そんな中で、『梅せんべい』や『えびせんべい』を製造する工場がコンセプトに共感してくださり、開発が実現しました」と振り返る。

協業した徳島大学では現在、フタホシコオロギを大量かつ自動で飼育できるシステムを開発中。コオロギを食べることで体にどのような良い影響があるのか、機能性を明らかにする研究も行っている。

社会課題解決の一助となり、体への好影響まで認められれば、コオロギはまさに人類の未来をサポートする存在になり得る。食糧問題に目を向けるきっかけとして、まずはパリッと1枚、エビ風味のコオロギせんべいをかじってみてはいかがだろうか?

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