寒くなくても頻繁に尿意をもよおす人は要注意 加齢などが引き起こす「過活動膀胱」かも

ドクター備忘録

尾原 徹司 尾原 徹司

寒くなれば、トイレが近くなるものです。緊張する場面で尿意を感じる人もいます。しかし、季節や場面に関係なく、しょっちゅう尿意をもよおすとなれば、要注意です。もしかして「過活動膀胱(ぼうこう)」かもしれません。過活動膀胱とは、「急に尿意をもよおす」「トイレまで我慢できず失禁する」など、尿意切迫感を主な症状とする疾患です。

通常、膀胱はたまった尿を排出する役目を担っています。尿がたまると大脳が指令して、筋肉を収縮させて尿を排出させます。ためる時はその指令がないので、筋肉の収縮はありません。しかし、過活動膀胱になると、尿をためている途中でも大脳とは関係なく、勝手に膀胱が収縮するために尿意をもよおしてしまうのです。

原因にはパーキンソン病など神経系や前立腺肥大などの病気もあれば、加齢や水分の摂り過ぎによって起こる場合もあります。実は、原因不明も少なくありません。

40歳代から増え始め、高齢になるほど増加傾向にあるといえます。トイレが近いと外出するのが億劫になりやすく、自信をなくしたり、生活の質が下がったりしてしまいがちです。気をつけたいのは「年のせいだから」とあきらめてしまわないこと。放置すれば、もっとひどいことになるかもしれません。

怖いのは、似た症状でも膀胱がんや前立腺がんの場合もあります。素人判断は避け、気になれば、早めに検査を受けてください。

治療法としては、一般的には薬による治療が考えられます。たとえば、抗コリン薬は膀胱の過剰な収縮を抑えることができる薬です。他にも、膀胱の筋肉を緩める薬も出されたりします。尿意を我慢させるための膀胱訓練や、排尿と関連した骨盤底筋を鍛える訓練などをすることもあります。尿も健康のバロメーターです。尿チェックもお忘れなく。

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