野良猫を卒業して家猫になるまで、幸せになった2匹の写真展が話題 公園猫を撮り続けて17年のベテランカメラマン

山中 羊子s 山中 羊子s

 公園で暮らす猫は少なくありません。そして、そんな猫たちを温かく見守る人たちがいます。公園で寿命を全うする子、不幸にも事故などで亡くなる子もいますが、新しいお家に迎え入れられ幸せになっている猫たちも多いのです。公園猫を撮り続けているカメラマンのまつうらともこさんは、公園から卒業した2匹の猫の写真展を11月に大阪市内で開きました。

写真教室で外猫撮影の楽しさを知り、公園に通い続けて17年

 まつうらさんは自らも2匹の猫と暮らす根っからの猫好き。わが子を写真に収めようとカメラを習い始めましたが、通っていた写真教室で外猫の撮影の楽しさを知りました。

 「当時勤めていた会社の近くの公園にもたくさんの猫がいて、時間があれば撮るようになりました」

 撮影を始めた2005年頃は30匹以上の猫がいたそうですが、今は大阪市から認定されたボランティアサポーターさんたちがいて避妊・去勢など健康管理、えさやり、定期的な里親募集をして引き取られるケースも増え、数はかなり減っています。今回、まつうらさんが写真展で紹介したりんちゃんは7年前の10月、ダミーちゃんはその半年ほど後から公園で暮らしていました。

りんちゃんとダミーちゃんは仲良し猫

 りんちゃんは人懐こくて、ボランティアさんたちの間ではアイドル的存在でした。そのりんちゃんといつも一緒にいたのがダミーちゃん。鳴き声が「だみ声だったから」ということで名付けられました。

 「りんちゃんは新入りの子には厳しいタイプでした。でも、ダミーちゃんとは時々ケンカをすることもあるけれど、いつも一緒にいて、仲良しでした」

 1匹は長年、公園生活を送っていましたが、そんなとき、何年も公園に通い、ダミーちゃんをかわいがっていた方から猫を飼える環境になったので引き取りたいと申し出がありました。

 そして、昨年10月にダミーちゃんは公園を卒業することに。すると、相棒がいなくなったりんちゃんに変化が現れました。寂しくなったのでしょう。哀愁を漂わせ、大きな声で鳴くようになったのです。

相棒が引き取られ、大声で鳴くようになったりんちゃん…その後は?

 季節は秋から木枯らし吹く冬へ。しかし、いらぬ心配だったようです。救世主が現れたのです。「そうしたら、何年もりんちゃんを可愛がっていた別の人がその様子を心配し、公園のボランティアさんたちのサイトを探し、引き取りを申し出てこられました」

 この方はわざわざペット可のマンションに引っ越すなど急いで迎える準備を整えたそうで、今年1月にりんちゃんも晴れて公園を卒業することになりました。

多くの人に幸せになった公園猫を知ってもらうきっかけに

 こうして、今は、りんちゃんは「ルーちゃん」へ、ダミーちゃんは「ボスちゃん」とそれぞれの里親さんが名前を改め、家猫として幸せに暮らしています。

 「写真展には公園猫から知っている方、里親さん、たくさんの方が来てくださいました。中には”公園猫でも家庭で暮らせるようになるんですね”と、初めて知る方もいて、こうして幸せになることをお伝えできてよかったと思います」

 まつうらさんは、これまで3回、猫写真の個展を開いています。これからもわが子や公園猫を撮り続け、猫ちゃんたちの幸せを伝えていきたいと話しています。

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