気を抜いた瞬間 悲劇はやってくる―。京都市左京区のある電柱に、不気味な文言が書かれた紙が張ってある。文字はペンのようなもので書かれ、「悲劇」は丸印で囲まれている。何だか呪われそうで怖いような…。紙の下部分を見ると、京都市立高野中学校と書かれている。うーん、謎は深まるばかり。
見つけたのは、京都市内に住む男性。メルセデスベンツのショールーム「ヤナセ洛北支店サービス工場」(左京区田中古川町2)の前を歩いていると、電柱に張ってある文言が目に入ってきた。「何この迷言と思いました。普通じゃない威圧感。気を抜いていたのでハッとしました」と振り返る。
「総合学習の中で、自分が設定した課題を解決するにはどうすればいいのかを考えて作ったものの一つですね」。そう話すのは、高野中学校の校長先生。謎の紙の正体は、中学1年生の4人組が作った交通事故防止のポスターだった。
生徒たちは交差点の事故の割合が多いことなどを知り、事故を防ごうと3種類のポスターを作成。「気を抜いた瞬間悲劇はやってくる」のほかは、「自転車 自動車 歩行者 事故の三大『しゃ』」と書いたり、外出する時に蛍光色の服を着ることなどを呼び掛けたりするものがあるという。ポスターは、電力会社に許可を得て、学校周辺の交差点などの電柱に張らせてもらった。
でも、どうしてあんなに怖い文言…? 「車やバイクの走行中に、よそ見やイヤホンをしながら運転をすると、人や自転車との事故が起きる可能性があります。気を抜かないでほしいという気持ちを込めました」。生徒たちの思いは、いたって真面目だった。