原材料価格の高騰により、水道光熱費や日用品など、ありとあらゆるものの値上げが続いています。相次ぐ値上げに、暮らしぶりを見直した方もいるでしょう。また、その影響は子どもの習い事にも影響を及ぼしています。Aさん(女性・30代前半・九州在住)も“教育費”の工面に悩む親の1人です。
家計に余裕はないけれど…
Aさんは1人娘を育てるシングルマザーです。離婚当初はフルタイムで働いていましたが、毎日仕事に追われる中での育児に疲れ果て、現在は非正規雇用で働いています。以前は週5日勤務でしたが、現在は週3~4日と勤務日数を減らしたたため、手取りも減りました。
余裕こそないものの、それでもどうにか生活できるくらいの収入を得ながら生活していたところ、娘のOちゃんが「お友だちも習い事してるから私もしたい!」と言い出したそうです。内心、「そんな余裕、うちにはないんだけど…」と思いましたが、「でも、教育費はどうにか捻出してあげたい」という思いから、Oちゃんが希望する英語を習わせる決心をしました。
どうにか習い事に通わせていた矢先の値上げ
Oちゃんが毎週楽しそうに英語を習っている姿は、Aさんの励みにもなりました。
そんなある日、Oちゃんが英語の先生からお手紙もらってきたよ」と1通の文書を差し出しました。そこには、消費税が10%に値上げしたタイミングで値上げも検討したが、どうにか持ちこたえたいという思いから値上げせずに運営した結果、経営が苦しくなってきたこと、教材はこちらで提供していたが、値上げの波によってそれも難しくなってきたことなど、先生の沈痛な思いが記されていたそうです。
2カ月後からは今まで無料だった教材費の徴収に加えて、月謝も500円ほど値上がりすると知り、Aさんは習い事を続けさせるべきか、辞めさせるべきか夜な夜な悩みました。
「やめたくない!」と泣き出されたけど…
Aさんは悩んだ末に、現時点では習い事の継続は難しいという結論に至りました。そのことをOちゃんに伝えると、まだ6歳ということもあり「やめたくない!」と泣きだしてしまい、Aさんも悲しくなりましたが、現時点では仕事を増やすのは無理だと判断し、経済的な理由で辞めることを英語の先生に伝えました。
しかし、Aさんは経済的理由で辞めさせなくてはいけないことを「私に経済的余裕があれば習い事を辞めなくてもよかったのに」と自分を責め続け、罪悪感に苛まれる毎日を過ごしていたそうです。
市が開催する週末講座を見つけて
ある日、何気なく市の広報誌を見ていると、幼児を対象とした英会話教室を週末に開催という広告を見つけたといいます。しかも、隔週で計5回開催される上に参加費は無料です。
AさんはさっそくOちゃんに週末講座に行ってみないか尋ねたところ、参加したいと返答があり、現在に至るまで、Oちゃんは週末講座に参加しているそうです。「週末講座は5回で終わってしまうけど、それでも娘がしたいことをさせられているだけで十分です」とAさんは笑顔で語ってくれました。
値上げラッシュの中、習い事が値上がりすることも例外ではありません。どのように教育費を捻出するかを考えることも重要ですが、家計に見合った生活を送ることも大切です。Aさんのように習い事に通わせることが難しいと判断するご家庭もあるでしょう。
しかし、Aさんは「経済的な理由で習い事に通わせられないことで自分を責める必要はないと思いました。今回のように代替案を見つけていけたらと思います」と話します。Oちゃんが楽しみながら週末講座に通う姿を見て、Aさんは「今後も楽しそうな講座があれば積極的に受講させたい」と考えています。