5歳の子どもに「英語」「スイミング」くらいは当たり前? シングルマザーが実感した「習い事格差」

長岡 杏果 長岡 杏果

シングルマザーの友人(20代・神奈川県在住)から子どもの習い事について相談を受けました。友人は5歳と2歳になる子どもを育てる2児の母です。5歳の娘さんが習い事を始めたいと言ってきたことをきっかけに習い事について調べ始めましたが、いろいろと悩んでしまっていると言います。

娘のAちゃんからはダンス、スイミング、習字、ピアノに挑戦したいと言われたといいます。しかし、まだ5歳なので一気に始めるのは難しいと考え、Aちゃんと話し合いをして一つずつ始めてみることにしました。習い事先を探しはじめ、周りのママ友からも情報収集をして気づいたことは、みんな2~3つの習い事をしているとのことでした。友人も子どもたちには平等にそしてやりたいことはやらせてあげたいと考えていますが、シングルマザーということもあり、習い事にも予算があります。あまり多くの習い事をさせることはできません。

しかし、とくに教育熱心なママ友ではなくてもスイミング、英語、学習塾は当たり前くらいの感覚で通わせていることに気づき、どうしたらいいのか悩んでいるといいます。習い事をしたからといって上達するわけではありませんが、小学校から必修科目になった英語や勉強についてはやりたいことよりも優先させるべきか、なにから習わせたらいいのか決めかねていました。

友人はさまざまな人の意見を聞き、まずはAちゃんのやりたいことを優先させることにしました。勉強は小学生のうちは友人がサポートできると考えたためです。

Aちゃんはやりたかったダンスを習い始めることができ、毎週楽しく通っているそうです。ただ、友人はいまでも習い事に多くの時間を割いている子どもがいることやそれだけの費用をかけて通わせている周囲の家庭が多いことから、同じようにしなければいけない日がくるのかと心配しているそうです。

習い事格差

学研教育総合研究所が2019年に行った習い事調査によると、小学生での習い事をしている子の割合は全体で約80%となっています。30年前の1989年では39%しか習い事をしている子がいなかったことを考えると、平成から令和にかけて習い事をする子どもは倍以上になったといえます。

これは教育格差に直結する問題で、貧困家庭の子どもたちは学校外の習い事に通うことができず、教育機会が減少しているといわれています。ここまで習い事や教育が加熱している背景として、就職難や学習指導要領の改訂が関係しています。少しでもいい大学に入って、いいところに就職してほしいという親の思いや英語、プログラミングなどが必修科目となったことで家庭では教えることができないから、習い事として通わせようなどが要因です。

しかし、当たり前ですが貧困家庭や低所得層は多くの習い事に通わせることはできず、習い事格差や教育格差が生まれています。いま、コロナ禍となりその格差がよりいっそう広がると見られています。子どもには平等に教育を受ける機会が与えられることが望ましく、格差が広がらないように対処するべきです。所得によって子どもの将来が左右されないように、行政や国が子どもの教育を受ける環境を整えてほしいものです。

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