京都人は京都の中心部を町名で表記されても分からない Googleは「上ル下ル」にどう対応?

どなどな探検隊(パートナー記事)

京都新聞社 京都新聞社

「最近、(検索サイトの)Googleで調べると、京都市内の田の字地域でも町名で書かれています。観光客が戻ってきて道案内する機会も増えてきましたが、町名では全くわかりません」

京都市下京区の女性(71)から京都新聞の双方向型報道「読者に答える」にこのような投稿が寄せられました。他都市とは違い、京都市内では「上ル下ル」の表記が伝統的に使われてきました。そもそも「上ル下ル」のない住所は正しいのか、Googleで示される地図(Googleマップ)に「上ル下ル」は表記できないのか、取材しました。

新型コロナウイルスの感染拡大前、女性はスマートフォンを片手にホテルを探す外国人を多く見かけたといいます。場所を尋ねられたこともあったそうですが、Googleマップなど、スマホの地図に住所が町名で表記されていても分かりにくく、女性がホテルに直接電話して確認した経験も数回あるとか。

「碁盤の目」になっている京都市中心部では、東西南北の通りに名前が付けられています。南北の通りでは、「烏丸通」や「堀川通」は知名度が高いです。東西の通りでは、「丸太町通」や「竹屋町通」「夷川通」などを「丸竹夷(まるたけえびす)…」としてリズムを付けて歌うのは有名な話です。

通りの後に続く「上ル」は「北へ進む」、「下ル」は「南へ進む」、「東入ル」「西入ル」は東や西へ進むことを意味します。多くの京都市民はこうした表記に慣れ親しんでいます。一方で、町名にはなじみが薄く、加えて区内に同一町名が複数ある場合もあり、京都人は町名表記に困惑するケースが少なくないのです。

女性の投稿にあったGoogleでは、京都の住所はどう書かれているのでしょうか。スマホで堀川通と御池通の交差点の南にある中京区役所を検索してみます。すると、住所の表記は「京都市中京区西三坊堀川町521」となっています。しかし、京都の人なら「中京区堀川通御池下ル」と書かれている方がピンとくるのです。

そもそも「上ル下ル」を書かない町名だけの住所表記は正しいのでしょうか。京都市地域自治推進室に聞くと、「表記に通り名がなくても間違いではありません」(担当者)。Googleの略した表記は正しいと言えそうです。

ただ、地域自治推進室は京都市の住民登録上のルールとして「通り名を含めて住民登録してもらっている」といいます。このため、免許証をはじめとする公的証明には、この「上ル下ル」を含めた住所が表記されるというわけです。

Googleはどう考えているのでしょうか。広報担当に2度メールを送りましたが、返信はありませんでした。

Googleマップに町名のみ書かれた住所は、修正することはできるのでしょうか。京都市観光協会によると、Googleマップの住所表記は、施設の関係者であれば編集することができるといいます。協会は京都市内の観光事業者による表記変更の相談に乗っているといい、「正しい情報を詳しく記載することが来訪者の増加につながることが分かっています。住所を正しく表記することは観光客へのPRとして重要な手段と考えられます」と話しています。

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