事実上の値上げ!…でもシンプルな料金体系に? JR西日本、割安な「B特急料金」を「A特急料金」に統一 

新田 浩之 新田 浩之

JR西日本は9月2日に在来線特急料金の一部見直しを発表しました。事実上の値上げになります。見直し時期は在来線特急料金は2023年4月1日購入分から、乗継割引は2023年4月1日乗車分からです。

A特急料金に統一

在来線特急見直しのひとつ目はB特急料金をA特急料金に統一することです。そもそも在来線特急料金は大きくA特急料金とB特急料金に分かれ、B特急料金の方が割安になっています。JR西日本管区におけるB特急料金の適用区間は山陰本線(京都~浜坂)、きのくに線(和歌山~新宮)など、計11区間です。

特急列車ですと「こうのとり」(新大阪~福知山、城崎温泉など)、「くろしお」(京都・新大阪~白浜・新宮など)などが当てはまります。一方、岡山と山陰を結ぶ「やくも」(岡山~出雲市)はA特急料金が適用されます。

B特急料金をA特急料金に統一することにより、指定席特急料金(通常期)は50キロまでが1190円から1290円、100キロまでが1520円から1730円と順々に値上げされ、401キロ以上は3060円から3490円に上がります。

たとえば特急「こうのとり」新大阪~城崎温泉間の指定席特急料金(通常期)は2290円から2730円に上がります。往復ですと880円のアップです。

特定特急料金(おトクな特急料金)も見直し

JR西日本が定めている特定特急料金も見直します。

今回見直されるのは津幡~和倉温泉間で51キロ以上の区間(指定席・自由席特急料金)、鳥取~出雲市間、米子~益田間101キロ~150キロ区間・151キロ以上の区間(自由席特急料金)、岡山~児島間または同区間とJR四国内にまたがる場合の50キロまでの区間(自由席特急料金)、博多~博多南間(特急料金、通勤定期券)です。なおJR四国は8月に2023年春からの運賃改定を発表しています。

博多南線以外の区間に関しては特急用定期券「パスカル」も値上がりします。

さらに山陽新幹線岡山~新下関間の新幹線停車駅で新幹線と在来線特急列車との乗り継ぎの際に適用される乗継割引が廃止されます。

たとえば「やくも」岡山~米子間の指定席特急料金(通常期)は2730円です。しかし山陽新幹線から乗り継ぐと同区間の指定席特急料金(通常期)は1360円とほぼ半額に! この乗継割引が廃止されるのですから、影響は大きいように思います。

また高松駅・坂出駅においてサンライズ瀬戸とJR四国内を走る在来線特急列車との乗り継ぎの際に適用される乗継割引も廃止されます。

見方を変えればわかりやすくなる

事実上の値上げですが、見方を変えればわかりやすくなるとも言えます。今回見直されるB特急料金は全国適用ではなく、JR北海道・JR東海・JR四国には存在しません。

またB特急料金の値段も各社によってバラバラ。たとえばJR西日本B特急料金で指定席特急料金(通常期)の50キロまでは1190円ですが、JR九州は1280円です。一方、JR九州は25キロまでという料金区分が存在します。

JR西日本がA特急料金に統一することにより、特急列車の料金計算は格段にわかりやすくなります。

今回の見直しの背景には厳しい経営状況の長期化やコロナ禍によるデジタル化などの社会情勢の変化が挙げられます。値上げは仕方がないにしても、これを機に少しでもわかりやすい料金体系を望みたいところです。

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