「あの頃に戻りたい…」殺伐としている現在のTwitterを嘆くツイートに共感の声 前のように楽しく呟くにはどうしたらいい?

竹中  友一(RinToris) 竹中 友一(RinToris)

「最近のTwitterではみんな何かに怒ってばかり。誰もがイライラピキピキしている。『退社なう』とか『なるほど四時じゃねーの』とか呟くだけで楽しくてキャッキャッしていたあの頃に戻りたい…」

最近のTwitterの風潮を嘆くRootportさん(@rootport)のツイートに共感の声が集まっています。

世界中の人が登録し、それぞれが思うことを好きに呟ける巨大SNS・Twitter。遠くの国で起こっていることを知れたり、さまざまな人が意見・考え方を共有できるという点ではとても有意義なツールですが、一方でネガティブな内容まで自由に書き込めるという側面もあります。

Twitterを見ていると、悪口や非難、誹謗中傷が流れてこない日はありません。

しかし、そのような風潮が特に顕著になったのは最近であり、ひと昔前のTwitterはもっと楽しいものであったと、Rootportさんは考えているようです。

実際に、以前のTwitterでは、一部のユーザーにしか分からないネタ、空気感のものも見受けられたものの、各々が和やかな雰囲気でTwitterという場所を楽しんでいました。

しかし、現在では、Twitterはより不特定多数の人の発信の場に。以前より開けた場所になったのはとても良いことですが、その分多様な思想や価値観が混在するようにもなりました。さらに、近年のストレス社会や社会問題・国際情勢も反映してか、否定的・攻撃的なツイートが目立ち、殺伐とした雰囲気になることも増えてしまったようにも思います。

そんな現状について指摘するRootportさんのツイート。リプ欄には実に多くの反響が。

「朝起きたら『むくり』って毎日のようにツイートしてた頃がなつかしいです」
「『風呂ってくる』で『ふろてらー』とか『REC』ってリプあったり、『そうめん』って呟いたら『ズッ』て返してくれたり。しっかり会話したことないのに一言だけのコミュニケーションでキャッキャウフフしてたの楽しかったな…」
「前まではもっと穏やかで居心地のいい場所だったはずなのに…」

このように、当時のTwitterを懐かしむ声があったほか、
「煽り、暴言、誹謗中傷が増えて、とにかく喧嘩腰な方が増えましたよね…」
「Twitter育児とか旦那の愚痴異常に多いよな」
「常に自分より弱い、あるいは立場的に自分を攻撃しにくい(政治やスキャンダル)を探し続けるゾンビのよう…」
「平気で誰かを差別する発言してて怖いのだ」
「コロナのストレスもあるのかもね....」
など、現在の現状についての見解を述べる人など、多くの共感のコメントが寄せられています。

なぜ、このような雰囲気になっているのでしょう?また、いまの状況を変える方法はないのでしょうか?Rootportさんにおうかがいしました。

――ご指摘の通り、最近のTwitterでは、他人同士非難をし合ったり、争いごとに発展したりすることが多い印象があります。そのような殺伐とした雰囲気の背景には、どのような原因があると思われますか?

Rootportさん:さまざまな書物を読む中で知ったのですが、私たちヒトには敵/味方に分かれて対立を深めてしまう“敵味方本能”という性質があり、また相手を敵とみなして攻撃しようとする原因には、愛情ホルモンともいわれている“オキシトシン”が関わっていたりするそうです。TwitterのようなSNSには、このようなヒトの“敵味方本能”を暴走させる作用があるように思います。

――なぜTwitterにそのような作用があると思われるのですか?

Rootportさん:“リツイート”や“シェア”の機能により、「こいつは敵だ!みんなで叩け!」という声がどこまでも広がったり、「俺たちは仲間だ!仲間ならこの投稿をバズらせろ!」という声がどこまでも響くようになってしまいました。現在のSNSは、本当は敵でも味方でもない赤の他人同士を「敵/味方」に色分けする装置になっている…と私は感じます。

――鋭い指摘ですね。Twitter以外の――例えばリアルの世界でも、そのような「敵/味方」に色分けされやすいことはあるのではないでしょうか?

Rootportさん:選挙戦があります。私たち有権者は、自分の支持する政党・候補を神聖視し、不支持の相手を悪魔化しがちです。一部ではありますが、支持者のなかには過激な言動をとる人もいます。

――相手側に対して、敵意を抱いたり批判したくなってしまう、という心理は分かる気がします。

Rootportさん:しかし、候補者側をみてみると、議席を競い合うライバル同士がお互い尊敬したコメントを出し合ったりしています。国会議員たちは同じ職場で働く「同僚」ですので、憎しみ合っているとは限らず、むしろ同じ職場で協力し合う機会がある方が多いはずです。私たちにも同じことがいえると考えます。

――実際に深いところまで分かっていなかったり、側面しか見ていないせいで、余計に相手側を敵視してしまっているのではないか、ということですね。そのような事態は、選挙に限らずさまざまな場面で起こり得るのかもしれません。もっと、お互いの分かり合える部分を見つけようとする方が賢明かもしれませんね。

Rootportさん:政治信条や価値観など、十人十色は当たり前のことです。いろいろな考え方の人間がいるからこそ、この社会は豊かになるのだと私は信じています。敵対するよりも協調の糸口を探る方が、ずっと私たち自身の利益になるのではないでしょうか。「同じ日本列島という土地にゆかりのある者同士だ」ということを忘れたくないものです。

――それでも、“敵味方本能”によって、どうしても相手に怒りを覚えたり、攻撃してしまいたくなることもあると思います。尖った感情をもとに戻したり、トラブルを防いだりするには、どのような心がけや工夫が必要だと思われますか?

Rootportさん:腹の立つ投稿を目にしたときに、脊髄反射で反論を投稿しないことだと思います。「なぜ自分は腹が立ったのか?」を客観的に考える時間をおいてみてはいかがでしょうか。

――冷静になる、感情を相手にぶつけるより前に自分の本心を振り返る…とても大事なことだと感じます。

Rootportさん:もしかしたら、自分が腹を立てたのは、ホルモン分泌などが引き起こす人間としての一時的な性質のせいだったのかもしれません。本来の自分自身は、もっとずっと穏やかで、理知的な人なのかもしれません。

――次に、ネット民独特の文化が流行していた時代について。当時を振り返って、どのようなことが印象に残っていますか?

Rootportさん:私がTwitterのアカウントを取得したのは2009年です。当時はまだ、みんな「このサービスで何ができるのか」がよく分からず、好き勝手なことをツイートしていたように思います。そこから、少しずつ“大喜利”などの文化が花開いていきました。あの頃の「読んだ人を笑わせよう」という傾向の強かった時代は、Twitterが一番楽しかった頃です。

――「あの頃」の風潮に戻れるとしたら、真っ先にどんなことをつぶやきたいですか?

Rootportさん:当時のようなつぶやきは、現在でも可能だと思っています。私自身も最近では堅苦しい長文のスレッドを投稿しがちですが、この機会に初心に帰って(?)くだらない大喜利ツイートを心がけようと思います。

  ◇  ◇

Twitterは便利なツールであることは皆さんご存知の通り。しかし、使い方によっては問題も生じます。

Rootportさんは、さまざまな知見・見地をもって、その理由を的確に分析されていました。お話にもあったように、相手を敵と決めつけず広い視野で共通点を探ったり、怒りを覚えても一旦時間を置いて客観的に自分を見つめる余裕をもつことが、楽しい環境を取り戻すためには重要ではないでしょうか。

そんなRootportさん、作家・マンガ原作者として活動されています。現在は、画像生成AIを使って漫画を描くという、新しい試みも行っているとのことです。

画像生成AIとは、生成したい画像のイメージを「言葉」で命令すると、AIがその言葉に応じた「画像」を描いてくれるという画期的なサービス。Rootportさんは、その一つである「Midjourney」というツールを使っているそうです。

「イメージ通りの画像を生成できるかどうかは、言葉の選び方次第です。AIにマンガを描かせるためには、膨大な数の画像が必要です。自分の脳内にあるイメージをAIに上手く伝えられずヤキモキすることも多いですが、イメージを遥かに超えた素晴らしい画像を出力してくれる時もあります。そういう時には、達成感を味わうことができて、とても楽しいです。みなさんにもぜひ画像生成AIに触ってみて欲しいです」と、Rootportさんは作成にあたっての苦労や喜びについて、語ってくれました。

Rootportさん原作・AIによる作画で描かれる漫画『サイバーパンク桃太郎』は、Twitterで随時更新中です。

■RootportさんのTwitterはこちら→https://twitter.com/rootport

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