この組み合わせ”役満級”!落語を雀荘で楽しみ、落語家と卓を囲む 画期的な寄席が生まれた理由

山本 智行 山本 智行

 落語好きも麻雀好きも、みんな集まれ!上方落語を聞いて落語家と麻雀も楽しめるという”ダブル役満”のような斬新な「麻雀寄席」が9月3日(12時~18時)に開かれる。出演するのは上方落語の実力派で麻雀愛好家の桂そうば、桂紅雀のご両人。大阪・本町近くの雀荘「ラキラビ」がその舞台となる。飲食店での落語会は良く聞くが、雀荘でとなると極めてまれ。関係者によると「世界初」との触れ込みだ。経緯を取材した。

 雀荘で落語が楽しめ、さらに、落語家と麻雀を打つことができる。この画期的なプランが動き出しのは3カ月ほど前のことだった。3度のメシと同じぐらい麻雀が好きな桂そうば、桂紅雀の噺家2人は「雀荘で落語ができないものか」と願っていた。

 その橋渡しをしたのは、元プロ野球近鉄で投手として活躍し、現在は麻雀講師でもある加藤哲郎さん。両者はGPC「関西著名人リーグ」に所属している縁もあり、早速、加藤さんが本町駅近くにある雀荘「ラキラビ」とコンタクトを取ると、とんとん拍子に話は進んだ。

 ラキラビでは元プロ野球選手や麻雀プロリーグのMリーガーなど著名人を呼んで様々なイベントを企画。今回の落語会も両者の思いが一致したものだ。

 落語会と言えば、天満天神繁昌亭や動楽亭など寄席で聞くのが一般的。さらに地域の公民館や飲食店などで開催されることが多い。ただ、そうばさんによると過去には様々な場所で営業をしてきたそうで「お祭りの際、神輿をかつぐ棒の部分に板を張って、その上でやったり、公園でお客さんと川を挟んで話をしたこともありますよ」と苦笑いした。

 とはいえ、雀荘での落語会となると自身も初めてだそうで、関係者の間では「雀荘で落語会というのは聞いた事がない。業界初ということは世界初ということでしょう」と話を盛っている。しかし、そうばさんによると、いままでなぜなかったのかと思わせるほど雀荘と寄席はマッチしているという。

 「寄席は広すぎてもあきませんし、雀荘はちょうどいいサイズ。何より、イスがあるので後は高座をつくれば完成です。暑くもなく、寒くもない。涼しいのがいいですよね」

 そんな、そうばさんが麻雀と出会ったのは高校時代に少年マガジンで連載されていた麻雀劇画「哲也~雀聖と呼ばれた男」の「坊や哲」の影響。神戸大学進学後は落研に入ったが、もっぱら熱を入れたのは麻雀だったという。

 「麻雀の良さは無我夢中になれること。仲間とやり出すと13、4時間なんかあっという間ですものね。ここ3、4年はコロナに注意しながらフリーでも行くようになりました。子どもの頃、将棋もやっていましたが、将棋は1対1だし、実力差が出てしまって残酷な競技。その点、麻雀は程よく運が勝負を左右するのがいい」

 麻雀愛が高じて桂紅雀さん、笑福亭べ瓶さんと3人で麻雀の役のひとつからとった落語会「三暗刻」を結成。年2回ずつのペースで大阪と東京で開催しており、次回は10月22日、東京での上演が決まっている。

 「紅雀さんとはもう10年ぐらい卓を囲んでますし、べ瓶さんが仕事で大阪に来たときは必ずといっていいほど、この3人が集合。あと1人呼んで、つまんでます」

 初の試みまで、あと少し。9月3日の雀荘落語会は12時から13時までが落語会、13時10分から18時までが麻雀大会となっている。落語と麻雀のダブルでの参加は定員30人、参加費5000円。落語会のみは定員10人、参加費2000円。麻雀のルールはMリーグルールを採用し、東風戦8回戦となっている。

 「落語が初めての人にも麻雀が初めての人にも楽しめる内容にしています。ゲームで知っている人もリアル麻雀を経験してほしいです。現在、参加者は若干名、空きがあるのでぜひ。いま、ぼくはかつてないほど強いので、負かしてほしいです。それと雀荘は日本全国津々浦々にあるので、今後はいろんな場所で落語会をして、交流を深めたいですね」

 落語が聞けて、落語家と麻雀を楽しめる雀荘落語会。間もなく開局だ。今後、どう発展するか見ものでもある。

◇まーじゃんラキラビ

大阪市西区立売堀1−6−15−2F
080(3833)1199

落語会へのオファーがある方はirebaokuba@yahoo.co.jp

◇今後の天満天神繁昌亭出演予定

桂そうば=9月8日夜席、9月26日昼席

桂紅雀=9月7日夜席

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