3年ぶりに行動制限のない夏、水に親しむ機会が増える中、不慮の事故を避けるにはどうしたらいいのでしょうか。河川で犠牲になる子どもの数は海の2倍以上です。「一気に僕の身体は沈んでいった」。まちづくりコンサルタントの安藤哲也(@tetsushiki)さんが三重県内の清流で知らされた川の怖さをSNSに投稿しました。「川は美しくて楽しい。でも、どうか川をなめないで、十分な備えで臨んでほしい」と呼び掛けるために。
友達家族に誘われて出掛けた三重県内の清流は、安藤さんにとって人生初の川遊びでした。対岸には子どもたちを連れて川遊びやジャンプをしている友人。少し遅れて合流した安藤さんは水着に足首固定タイプのサンダルという格好で、川を渡り始めました。
少しずつ深くなる水位。想像を超える冷たい水。水に慣れようと、平泳ぎをしたりして、身体をほぐしました。プールであれば、クロール、平泳ぎ、背泳ぎで少なくとも25メートルは大丈夫という泳力の安藤さん。少し休もうと立とうとした瞬間、つま先は川底に届かず、一気に沈んでいきました。
とっさにクロールをしましたが、川の流れに逆らう状態だったのか、思うような方向に進めず、焦りから泳ぎ方はぐちゃぐちゃに。パニックに襲われる中、脱力して背泳ぎをすることで冷静さを取り戻し、何とか足が届く場所に戻ることができました。
「本当に恐怖でした」
後から聞いた話では、その川は深いところでは水深4、5メートルはあるそうです。「想像もしてないのに、突然水の底に落ちていくのは本当に恐怖だった」と振り返る安藤さんに聞きました。
ー心底恐ろしい体験だったと思います
「単独行動だったので、深みと浅瀬の見分けが付きませんでした。その後、地元の友人と合流して、安全なルートと、その見方を教えてもらいました。僕の異変には気付く人はいませんでした。妻曰く、『気持ちよさそうに背泳ぎしているなーと思ってた』でした」
ーその瞬間については
「一度水中に落ちる→クロールで上がろうとする→身体が動かず沈む→ヤバいと認識する→クロールで上がろうとする→身体が動かず沈む→あ、溺れてると感じる→背泳ぎだ という感じでした。10秒くらいでしょうか。意識して潜るのと沈んでいくのとは雲泥の差です」
ーあらためて今回の件からの教訓を
「あまりにも当たり前ですが、『足下を良く見て、明らかに足が届くルートを選ぶこと』でした。ルートを外れると身長以上の深みがあることが想定外でした。それを理解していれば、ルート選びの難易度は高くないですが、『まぁ多少外れたところで問題ないだろう』と思い込んでしまうことが問題だと思います。僕が正しくそうでしたから。もう一つは、苔で滑りやすいので、ルートを歩こうとしても滑ってドボンがあり得ます。泳げない妻が歩いて横断しようとしたのですが、全力で止めました」
ー体験をあえて投稿したのは
「子どもにはライフジャケットを着せていましたが、自分が溺れるなんてあり得ないと思っていました。子どもへの装備は絶対ですが、川遊びする大人も是非、ライフジャケット、ウォーターシューズを着用してほしいです。水遊びは大変素晴らしいので、(1)侮らず(2)しっかりした備えで(3)経験豊富な人と一緒に楽しいでほしいです」