愛媛県のほぼ中央に位置する高原の町、久万高原町のタクシー会社が今、Xで大きな注目を集めています。ほんの2日前までフォロワーはわずか16人だったのに、ある投稿をきっかけに爆増。9月12日の時点でとうとう2万人を突破しました。創業60年、従業員数10人の会社に何が起きたのでしょうか。あまりの出来事に「うええおぇぇ!!!?ええええええええええ!!??」と嬉しい悲鳴(?)を上げる美川タクシー(@mikawataxiehime)広報担当の女性Aさんに取材しました。
バズったのは9月9日夜のこちらの投稿です。
「すみません。
みなさんの力を貸してください!!!
弊社社長が、いいねが一万来たら
広報に↓のカメラを買ってくれると
約束してくれました。
今はスマホカメラで頑張っていますが、
美川タクシー、そして久万高原町の未来の
為にもっと素敵な写真を撮りたいです!!
よろしくお願いします!!」
フジフイルムのミラーレス一眼、X-T30 II(価格は十数万円)の画像が添付されたこのポストがあれよあれよと拡散され、翌10日昼頃からは通知が鳴り止まないほどの勢いに。「めちゃくちゃ素敵なバズり方」「なんでもないのに応援したくなる」「一眼レフで良い景色を発信してください!」などの好意的なコメントも相次ぎ、中には久万高原町の思い出を懐かしく振り返る人もいました。
あっという間に1万いいねを達成したので社長に報告すると、「よし買ってやろう。レンズ…?それは知らん」。AさんがこのやりとりをXに書いたところ、「レンズも買ってあげて!」という声が続々と寄せられ、ついには久万高原町とは何の縁もない名古屋のカメラ店「焦点工房」(@ShotenKobo)から、「レンズを提供したい」と予想だにしなかった申し出が…。Aさん、見ず知らずの人たちの優しさに触れて思わず「うるうるしてしまった」そうです。
アカウント開設は5月
会社や地域の魅力をPRすべく、美川タクシーがXアカウントを開設したのは今年の5月。アカウントの運営は、学生時代にイラストや油絵、エッチングなどを学び、アメリカに留学経験もあるというAさんが担当することになりました。
愛媛県の県庁所在地である松山市からは30kmあまり南、山々に囲まれた標高800mほどの文字通り「高原」にある久万高原町。「四国の軽井沢」とも呼ばれるこの町は、御多分に洩れず人口減と高齢化が進んでいるといい、美川タクシーは免許を返納した住民らの足として重宝されているそうです。
結婚を機に松山市から移り住んだというAさんは、久万高原の魅力について「緑豊かで川が本当に美しい。標高も高いので、“天空の山と川の町”という感じ。ここで暮らすことができて幸せです」と話します。
Xではそんな町の美しい風景の数々をスマホのカメラで撮って紹介してきましたが、8月、流星群を撮影した際にスマホの限界を痛感。これまでも「肉眼で見る風景」と「スマホで撮った写真」との違いにもどかしさを感じていたといい、あらためて「一眼レフが欲しい!」との思いを強くしたそうです。
「とはいえ、あの投稿自体は『いいね』が50件くらいつけばいいな、くらいの軽い気持ちだったので、まさか本当に1万を超えるとは思ってもみませんでした(※12日現在、「いいね」は約9.5万件!)」とAさん。「良いカメラ、良いレンズで、素晴らしい風景をこれからも発信していきたいです」と意気込んでいます。