絵本のように…動物を「ほっこり可愛く」描くにはどうしたらいい? 人気イラストレーターに聞いた

N.Ritsu N.Ritsu

 栞子(Kanko)さんは、ほっこりしたかわいい動物のイラストレーションが人気のイラストレーターです。楽しそうに、幸せそうに描かれる動物たちは、まるで絵本の世界のようで、ワクワクした気持ちにさせてくれます。

 小さい頃から絵を描くのが好きだった栞子さんは、美術系の高校に通い、大阪芸術大学デザイン学科ビジュアルアーツコースを卒業。パッケージメーカーのデザイン室に3年間勤務し、2017年にフリーランスとして活動を開始。現在、挿絵、雑貨、カレンダー、キャラクター、ペーパークラフトなどのイラストを制作し、多くの実績を積んでいます。栞子さんにお話を伺いました。

どうぶつらしさ、魅力はそのまま描く

――かわいくてほっこりする動物のイラスト。描こうと思ったきっかけは?

「イラストレーターとしてイラストのお仕事をしたいと思っていて、そうすると色んなものを描ける方がいいと知りました。ハムスターを描くのにハマっていたのでその流れで色んなどうぶつを描いてみようと思いました」

――どういうところにこだわって描いていますか?

「そのどうぶつが持つどうぶつらしさ、魅力はそのまま描くようにすることを大切にしています。まずは先入観で描かないように、よく知ってるどうぶつでも写真をしっかり観察して、その後自分なりに崩して描いてみたりしてます。手足の指の数なんかはなるべくそのまま描きます。あとは動きとか目線とかも。『どうぶつたちがその世界で生きている』ということが伝わるようなイラストになるようこだわっています」

――かわいい動物や四季折々のカラフルなイラストなど、たくさん手がけています。そのアイデアは?

「なんとなく描きたいモチーフを選んで、それがケーキならそこから想像を膨らませていきます。『小さなどうぶつが自分の体よりずっと大きなケーキをみんなで作っている』みたいにイメージが決まってきたらそこから小さなお話をプラスします。そのどうぶつたちは大切な誰かのために一生懸命ケーキを作っている。その気持ちを乗せて描いています。そうするとどうぶつたちがそれぞれ動き出して可愛いしぐさを見せてくれる…気がしてます」

――お客様の声はどうですか?

「私はラフの段階から着彩も行って完成に近いイメージまでしっかり描く方なのですが、提出したラフを見て、可愛い…!と感想いただけるのが嬉しいです。ご依頼いただいたイメージの通りにまずは描けたのかなって安心感も。ラフだから全然綺麗な絵じゃないんですけど、完成までのイメージが伝わっている感覚が嬉しい。そこから完成まではお客様と一緒に作り上げていってます」

――どんなときにやりがいを感じますか?

「『イラストをお願いしてよかった』と言ってもらえる瞬間でしょうか。あとは自分がイラストを担当した商品が店頭に並んでいるのを見た時に、嬉しいなって感じます」

――今までで1番印象に残っている仕事は?

「初めてのお仕事が、ハムスターの飼育書のイラストでした。1冊まるまるイラストを描かせていただいたんです。そのきっかけになったのが柏餅に包まれてるハムスターのイラスト。これを見て声をかけていただきました。夢のようなお仕事、絶対引き受けたくて当時勤めてた会社をスパッと辞めました。(副業禁止だったので、辞めざるを得なかった)」

描くのが1番難しいのはミツバチ

 栞子さんは、2歳7カ月のオスのハムスター・ふうたくんと暮らしています。

――ハムスターとの出会いは?

「初めて飼育したのはハムスターブームの真っ只中の小学4年生の頃でした。ジャンガリアンハムスターの男の子『ハム吉』です。可愛くてもうメロメロでした。ハムスター沼に真っ逆さまです(笑)そこからしばらくはずっとハムスターが家にいました」

――飼っているハムスターが仕事のヒントになることはありますか?

「今の仕事に繋がる私の活動の1番最初のきっかけをくれたのが当時飼っていたハムスターなんです。キンクマハムスターの『ひまりちゃん』。はじめての1人暮らしの相棒に、とお迎えしました。数年ぶりのハムスターでしたが、速攻でメロメロに(笑)好きすぎるあまり自分でイラストを描いてグッズを作って販売して…そして今に至るという感じ。ひまりちゃんがいなければ今の私はなかったかもしれません」

 栞子さんのイラストには、ハムスター、クマ、キリン、ウサギ、ペンギン…などたくさんの動物が登場し、見ている人を楽しませてくれます。

――描くのが1番難しいのは?

「…ミツバチですかね。難しかったです。私のイラストは元のどうぶつのフォルムを大きく崩さず、ちょっとリアルで可愛い、というラインで描くので、昆虫はリアルに寄せるとゾワッとしてしまう…。可愛く描けるようになるのが今後の課題です」

――次に挑戦してみたい動物は?

「絵本やイラストのモチーフにされることがないマニアックなどうぶつを描いてみたいです」

――最後に今後の意気込みをお願いします。

「イラストには、大切な情報やイメージを伝える役割があります。私のイラストに与えられた役割は、あたたかい気持ちや幸福感を感じてもらうことなのかなと思っています。そういうイラストを今後も描き続けていきたいです」

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