自然由来の素材で優しく…「自然派ナプキン」高まる人気 各メーカー相次ぎ発売、先駆けは京都の企業

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 自然由来の素材で作られた生理ナプキン「自然派ナプキン」が人気を呼んでいる。肌に直接当たるトップシート(表面材)はコットン100%。吸収体は木材のパルプを使い、経血をゼリー状にするポリマー(高分子吸収材)は用いない。「肌当たりが良い」などと評判を集め、健康志向や環境問題への関心の高まりもあって、さまざまなメーカーが相次いで発売している。

 京都市内の女性(38)は約5年前から自然派ナプキンを使う。「それまで普通のナプキンでしたが、生理のたびにかぶれてしまって。偶然見つけたので、使ってみると蒸れず、心地よかった」

 自然派ナプキンの先駆けは、G―Place(ジープレイス、京都府長岡京市)が2012年に発売した「ナチュラムーン」。愛知県の一宮生活協同組合で開いた布ナプキンの勉強会で、「粗相が怖いし、外出時の取り換えが不便」「布ナプキンと同じ機能を持つ使い捨てナプキンはできないか」との意見が開発のきっけになった。

 当時、国内ではトップシートは化繊で、ポリマー不使用のナプキンはあったというが、「布ナプキンのように、素材はできるだけ天然で、ふかふかとした肌触りを目指した」と開発担当の平田真子さん(37)。欧米の商品を取り寄せたり、肌触りや形状の試作を重ねたりし、コットン100%のトップシート、吸収体は綿状パルプのナプキンを完成させた。生理ナプキンは医薬部外品で、吸水量の基準がある。ポリマーを用いない分、厚みが出たが、モニターからは「肌触りがいい」と好意的な意見が寄せられたという。

 生活協同組合連合会コープ自然派事業連合(神戸市)のカタログと、自然食品店約10店舗で販売を始めた。人気は口コミで広がり、ドラッグストアやコンビニ、東急ハンズなど取扱店は増え、22年6月には約1550店舗に。「普通の日用(羽なし)」など2種類でスタートし、現在は5種類になった。

 大手メーカーのユニ・チャーム(東京)も19年から「ソフィはだおもいORGANIC100%」を発売した。「『人生100年時代』とも言われ、健康志向とともにオーガニック素材や原材料への関心が高まっている」とブランドマネージメント部長代理の長井千香子さん(41)。体に直接触れる生理用品も共通の需要を感じていたという。

 吸収体はクラフトパルプ。トップシートはオーガニックコットン100%で、経血の横漏れや、けば立ちを防ぐ工夫を凝らした。コロナ禍で「自分のためにいいことを」との考えの広がりとともに利用者が増えたといい、今年4月には同シリーズの「極うすスリム」版を新たに発売した。

 このほか、無印良品は20年に、雑貨店「プラザ」などを手掛けるスタイリングライフ・ホールディングス プラザスタイルカンパニーは22年3月に、それぞれ自然派ナプキンを発売している。

女性の生き方反映し発展

 再生和紙、古い布、脱脂綿や紙綿-。T字帯などを併用しながら、経血の処理をしてきた日本女性。日本衛生材料工業連合会のサイトなどによると、1961年、紙綿製の使い捨てナプキン「アンネナプキン」の登場で変革が起きた。吸水性が高く、取り換えや持ち運びに便利で、生理用品の主流は脱脂綿からナプキンへと流れが変わる。

 73年のオイルショックの紙不足で、吸収体の多くが紙綿から綿状パルプとなって、厚みは半分に。78年には高分子吸収材を用いたナプキンが登場して、よりスリム化した。以後、日本の生理ナプキンは、社会進出など女性の生き方を反映しながら、改良されている。

 オーガニックコットンの生理ナプキンが登場したのは89年。フィットネスのインストラクターで環境保護にも取り組むスージー・ヒューソンさんがイギリスで創業した「ナトラケア」で、その後、日本を含む約70カ国で販売されている。自然派ナプキンは欧米のほか、韓国で人気を呼んでいる。

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