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親にも気づいてもらえず……「文字が書けない、思い出せない」問題 ドラマでも話題の“障害”とは?【漫画】

海川 まこと 海川 まこと

近年、発達障害のひとつとして『注意欠陥・多動症(ADHD)』や『自閉スペクトラム症(ASD)』は広く知られるようになりました。しかし『学習障害(LD)』はまだ理解が進んでいないのが現状です。そんな学習障害について、漫画家・イラストレーターのゆめのさんが、自身の体験を描いた作品『学習障害の苦しさについて』がX(旧Twitter)で話題を呼んでいます。

ゆめのさんは幼少期から字を書くことが苦手で、『読めるのに漢字を思い出せない』『人一倍書き間違いが多い』ことにずっと悩まされてきました。文字として書き起こすのに、自分だけ見えない壁があるように感じていたのです。

学年が上がるにつれて周囲との差は広がり、やがて人間関係もうまくいかなくなり不登校に。大人になっても書けるのは小学校低学年レベルの漢字にとどまり、字を書く場面が何よりも恐怖でした。

そんなある日、本がきっかけで学習障害のことを知り、検査にて発達性ディスレクシアの診断を受けます。

『読み書き障害(発達性ディスレクシア)』とは、『算数障害』『読み書き障害』『書字障害』の3つに大きく分類される学習障害のひとつ。ゆめのさん自身は『読むこと』に困難さを感じていませんでしたが、実は読解にも問題があり自己流の読み方で解読していたのです。

現状、大人の発達性ディスレクシアは検査方法が確立されておらず、学習障害を疑っても診断を受けられないのが現状です。その上、多くの精神科では学習障害は専門外であり、診療を受けることができません。

一方、子どもの検査方法は存在しており、音声読み上げやタブレット使用などの学習方法も広がっています。しかしまだ普及しているわけではなく、支援にたどり着けていない子も多くいるのが現状です。

学習障害はメンタルの問題だけでなく、将来の人生選択にも大きく影響を与えます。だからこそ、困っている子どもたち、そして大人にも『壁』を取り払う機会を与えて欲しいーーゆめのさんの言葉を添えて、漫画は締めくくります。

同作についてSNS上では「私も学生時代誤字が多くて困っていた」「自分の子どもも似たような症状があって…」「教育者としても学習障害への支援は課題です」など、さまざまな立場の声が寄せられました。そこで、作者のゆめのさんに同作について話を聞きました。

この漫画をきっかけに学習障害について知ってほしい

ーこの作品を執筆されたきっかけを。

数年前に自分が学習障害だとわかり、それをきっかけに学習障害について調べ、関連するマンガをいくつか描いてきました。最近「愛の、がっこう。」というドラマで学習障害が注目されており、興味を持ちながらも詳しくは知らないという方が多いと感じました。そこで、現時点で私が知っていることを、初めて触れる人にもわかりやすい形でまとめたいと思い、執筆しました。  

ー勉強で苦労した学生時代、印象に残っているできごとはありますか。

当時は学習障害という認識もなく、親にも気づいてもらえませんでした。書けないことに恥ずかしさを感じ、ストレスを抱えていました。

文章問題では、本当に書きたい言葉を書けず、実際に書ける簡単な漢字やひらがな・カタカナの言葉に変換して書いていました。さらに書き間違いが多いこともあり、結果的に文章を作るのにクラスのどの子よりも時間がかかってしまい、苦労したことを覚えています。

ー漫画やイラスト活動のなかで、難しさや工夫点を。

最近は漫画で文字を書くにもデジタルで、手書きではなくテキストを打ち込めばいいので助かってます。

ただ手書きで文字を書きたい部分もあるので、そういう箇所は手書きで書いてます。普通の人ならすらすら書けるようなところも、細かく修正しながら書くので時間がかかってしまいます。

それと誤字脱字が多いので、間違いのないよう気を使っています。

ー読者へメッセージをお願いします。

学習障害については、まだ解明されていない部分も多くあります。その困難はさまざまで、一生の選択肢に影響を与えるものだと感じています。一方、学習障害のある人は「苦手なことがある」だけではなく、脳の多様性のなかで人とは違う力を持っているという見方もあります。そういったことを知ると、とても興味深いです。

この漫画をきっかけに、学習障害への理解や関心を深めていただけたらうれしいです。

<ゆめのさん関連情報>
▽X(旧Twitter)
https://x.com/yumenonohibi
▽note
https://note.com/ohutondetai

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