電動キックボード「運転していて危険を感じた」6割 …「道がガタガタだと転倒しそうに」「急ブレーキでバランスが保てない」

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都市部を中心に小回りが利く乗り物として人気が高まっている「電動キックボード」。一方、交通ルールが守られていないという問題も指摘されています。全国の男女に「電動キックボードの利用状況」について聞いたところ、「電動キックボードを運転していて危険を感じた瞬間がある」と回答した人は約6割にも上ることがわかったそうです。

弁護士ドットコム株式会社が2022年6月、弁護士ドットコムの一般会員1380人(1都3県の在住者が49.3%)に実施した調査です。なお、調査の中で「電動キックボード」の対象とは、シェア型電動キックボード(政府の特例措置により、道路交通法上の小型特殊自動車にあたるもの)と、個人所有の電動キックボード(道交法並びに道路運送車両法上の原動機付自転車にあたるもの)のどちらも含んでいるといいます。

同調査によると、92.0%の人が「電動キックボードを知っている」と回答した一方で、「電動キックボードに乗ったことがある」と回答した人は11.1%という結果に。

また、「電動キックボードに乗ったことがある」と回答した人に「運転していて危険を感じた瞬間がありますか」と聞いたところ、60.8%の人が「ある」と回答。具体的には、「歩行者や自転車、車などと接触しそうになった」「思った以上にスピードが出るものの、段差や隙間の影響を強く受けるため転倒しそうになる」「急ブレーキでバランスが保てなくなる」といった意見が複数挙げられたといいます。具体的なコメントは以下の通りです。

▽地面にある小さな石など障害物とぶつかってもボードに大きな振動が伝わり、ボードのコントロールに影響する。場合によっては、ボードから降りてバランスを取り直さなければならない(千葉県在住)
▽基本車道を走りますが、キックボードの車輪が樹脂のため、道がガタガタだと転倒しそうになる。また、私が所有するキックボードは、操作性が甘く急停止が出来ないので、突然飛び出してこられると対処できない(大阪府在住)
▽スピードが出すぎてしまうので、安定性に不安があった。また、ブレーキのかけ方も難しく、人とぶつからないように十分注意する必要がある(東京都在住)

また、「電動キックボードに乗ったことがない」と回答した人からは、「車を運転する側からみると本当に怖い。自転車ですらルールを無視した乗り方をする人は多く、事故が増えると思う」という車のドライバーからの懸念する声があったほか、「自転車と同じで、乗る人のマナー次第」という意見も見られたそうです。

次に、「電動キックボードを利用したことがない」と回答した人に「今後、電動キックボードを利用したいと思いますか」と聞いたところ、34.3%の人が「利用したい」と回答。なお、「利用したいと思う理由」については、「小回りが効いて便利そう」(68.9%)、「乗っていて気持ちが良さそう」(55.3%)、「疲れなさそう」(33.5%)、「新しいツールが好きだから」(32.1%)といった回答が上位に並びました。

一方、「利用したいと思わない理由」については、「危ないから」(71.4%)、「そのほかの乗り物で事足りるから」(63.8%)、「使い方やルールが分からないから」(20.7%)、「恥ずかしいから」(14.8%)といった回答が続いたそうです。

シェア型電動キックボードも、個人所有の電動キックボードも、飲酒運転は道路交通法違反にあたります。そこで、「電動キックボードでの飲酒運転が禁止されていることを知っていますか」と聞いたところ、37.5%の人が「知らない」と回答。さらに、電動キックボードの利用者に限っても、23.5%の人が「知らない」と回答しました。なお、非利用者では60.7%の人が「知らない」と回答しており、交通ルールの周知徹底が課題となっていることが窺えたといいます。

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調査結果を踏まえて、交通事故事件にくわしい平岡将人弁護士は、「道路交通法の改正によって、最高時速が20キロメートル以下の電動キックボードを『特定小型原付自転車』との新たな区分に分類し、16歳以上であれば免許なく乗車ができ、時速6キロメートル以下なら歩道の通行も可能となります。人力や動物の力によって動くものではないため、軽車両には分類できなかったものの、自転車に近い気軽な乗り物として許可していくということでしょう」と説明。

また、「飲酒をしたら、自動車はもとより、自転車も電動キックボードもダメです。また、電動キックボードに乗ったことがあり『危険を感じた瞬間がある』と回答した人の『急停止が難しい』というコメントは気になります。そのような性質をもつ乗り物であるならば、見通しの悪い交差路などの前では速度を落とすなど、急停止をなるべくしない運転スキルが求められることになるでしょう」と述べています。

さらに、「利便性や技術革新のために、国家が新しい移動手段を許可するということは、新しい『危険』を許可するのと同じだということです。電動キックボードが街中を走れば、それに起因する事故は必ず起きます。ゼロにするのは難しいでしょう。そうであれば、必ず起きる事故に着目した制度設計(賠償確保、公道の安全を保護する諸制度等)をきちんとするのが国家の義務だと考えています」とも述べています。

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