半数以上が「あおり運転をされた経験がある」…きっかけは「車線変更をした」「スピードが遅かった」などの声

まいどなニュース まいどなニュース

2017年に東名高速で起きた死亡事故がきっかけで社会問題化したあおり運転。2020年の改正道路交通法で妨害運転として厳罰化されましたが、現在もあおり運転に巻き込まれた被害が報道され続けています。1週間に1回以上運転している全国の男女ドライバー2230人に「あおり運転」について聞いたところ、半数以上の人が「あおり運転をされた経験がある」と回答。また、あおり運転をされたきっかけは「車線変更をした」「スピードが遅かった」などに回答が集まったそうです。

チューリッヒ保険会社が今年で5回目となる「あおり運転実態調査」として2022年6月に実施した調査です。

はじめに、「あおり運転をされた経験」を聞いたところ、51.3%の人が「ある」と回答。また、近年の報道を受けて、77.0%の人が「あおり運転を受けないよう注意して運転をするようになった」と回答し、あおり運転に対する関心の高さが窺えたといいます。

また、「あおり運転をされたきっかけ」については、「車線変更をした」(24.4%)、「スピードが遅かった」(17.1%)、「速度制限で走っていた」「合流をした」(いずれも14.6%)、「車間距離を詰めた」「追い越しをした」(いずれも12.2%)といった回答が上位に並びました。

調査結果を踏まえて、九州大学大学院システム情報科学研究院の志堂寺和則教授は、「あおり運転の被害に遭うときは、気がついている、気がついていないに関わらず、なんらかのきっかけがあります。あおり運転を行うようなドライバーは、何か気に入らないことがあると反射的にあおり行為を行ってしまいます」と説明。「このような場合、きっかけを与えないことが一番の予防策となります。自分の運転が他のドライバーにどのような気持ちを起こさせるかを考えて、運転をするようにしましょう」と述べています。

さらに、「あおり運転に遭遇した時に受けた被害」を聞いたところ、「あなたの自動車に激しく接近し、もっと速く走るように挑発してきた」(75.0%)、「車体を接近させて、幅寄せされた」(21.5%)、「必要のないハイビームをされた」(20.0%)と続きました。

また、「あおり運転を受けたときにとった対処法」は、「道を譲った」(43.3%)、「何もしなかった」(37.0%)、「他の道に逃げた」(14.5%)といった回答が上位に並びました。

調査結果から志堂寺教授は、「最近では、後続車が先行車を追い抜いて前に出た後、急ブレーキを踏むといった、非常に危険な、事故に直結するような運転行為も報告されています。あおり運転に遭遇したときは、道を譲る、他の道に逃げるなどが良いと思います。ただ、片側1車線の高速道路のように道路状況によっては何もできないこともあると思います。その場合は、気持ちを落ち着けて避難できるところまで運転を続けてください」と説明しています。

次に、「あおり運転にあわないための工夫」については、「車間距離をしっかりとる」(55.5%)、「ウィンカーは早めに出す」(40.0%)、「周囲をよく見て、相手に譲るようにしている」(35.5%)、「急な割り込みをしない」(35.3%)、「ドライブレコーダーを設置した」(34.5%)と続き、周りのドライバーを気遣い、刺激しない運転を心がけている人が目立ったといいます。

続いて、「ドライブレコーダーの利用状況」を聞いたところ、54.7%の人が「ドライブレコーダーを取り付けている」と回答し、前年より4.8ポイント上昇。また、現在利用している「ドライブレコーダーの購入または買い替え時期」については、「3年以内」(43.0%)、「5年以上購入/買い替えをしていない」(17.0%)、「1年以内」「5年以内」(いずれも15.0%)という結果になりました。

「ドライブレコーダーを利用している理由」については「事故発生時に自分が不利にならないようにするため」(83.5%)」「言いがかり対策として、あおり運転の加害者にならないようにするため」(43.5%)、「あおり運転にあわないようにするため」(34.0%)といった回答が上位に並んだ一方で、「ドライブレコーダーを利用していない理由」では、「購入したいがコストがかかるため」(68.5%)、「取り付けが面倒なため」(27.0%)、「必要性を感じない」(15.0%)と続きました。

また、「購入したいがコストがかかるため」と回答した人に、「どの程度の価格であれば購入、設置しますか」と聞いたところ、本体購入は「~5000円以内」(43.8%)、「5000~1万円以内」(42.3%)となり、取付費用では「~5000円以内」(76.6%)が多い結果となったそうです。

最後に、「ドライブレコーダーの普及であおり運転が減少すると思いますか」と聞いたところ、69.6%の人が「減少すると思う」と回答。また、2020年6月に施行された「あおり運転の厳罰化を盛り込んだ改正道路交通法により危険運転が減少すると思いますか」では「減少すると思う」と回答した人は63.0%に。さらに、「減少しないと思う」と回答した人に「危険運転が減少しないと答えた理由」を聞いたところ、「危険な運転をする人の心理や行動は変わらないと思う」(68.9%)、「衝動的にあおり運転をすることを抑制するのは難しいと思う」(49.8%)といった回答が上位に並びました。

   ◇  ◇

「あおり運転された経験がある」と回答した人は、初回の調査である2018年は70.4%で、その後、2019年59.8%、2020年57.9%、2021年50.0%、そして今回の2022年が51.3%となっています。それらの結果をふまえて志堂寺教授は、「ここ5年ほどであおり運転の被害を受けた経験はだいぶ減ってきている、つまりはあおり運転が減ってきているのではないかとみることができます」と説明。

「さまざまな要因が考えられますが、ドライバーの多くがあおり運転を受けないように以前よりも意識して運転しているということも大きく寄与していると思います」と述べる一方で、「1年以内にあおり運転を受けたと回答した人は今年の調査でも19.3%います。あおり運転に遭うことは減ってきているとは言え、あおり運転がまだ日常的に行われている様子が伺えます」とも説明しています。

また、ドライブレコーダーがさらに普及することで、あおり運転はもう少し減少すると考えているといい、「あおり運転被害が心配であれば、あおり運転に遭わないような運転をすることに加えて、ドライブレコーダーを取り付けておくことをお勧めします。コストはどうしても気にはなりますが、万が一の備えと考えるべきだと思います」とも述べています。

まいどなの求人情報

求人情報一覧へ

おすすめニュース

気になるキーワード

新着ニュース