会社に制服は必要? 「就労スタイルの多様化」が進む中、半数近い人が答えた意外な結果

松田 義人 松田 義人

 

リモートワークや新しい働き方といった「就労スタイルの多様化」が進んでいます。さらに「個性を尊重する・許容する」ことが、ある面で「社会の美徳」にもなっている今、「会社の制服」と聞くと、やや前時代的な響きもあります。

こういう時世からか、近年では銀行の制服を撤廃する動きが広まっている一方、まだその認知が薄い今、例えば銀行に行った際などには「えっと……誰が行員さんで、誰が客なんだろうか」と一瞬戸惑ってしまうこともあります。こういったことから「会社の制服」に対する思いは、人によっておおいに異なりそうです。

そんな中、日本トレンドサーチが興味深い調査結果を発表しました。「企業の制服に関するアンケート」と題し、就労者(または就労していた)人480名を対象にを実施。その中身と意見を公開したもので、そこには、新しい社会通念とはまた違う、赤裸々な意見をうかがうことができました。ここでご紹介したいと思います。

半数近い人が答えた意外な結果とは!?

まず、「企業の事務職・営業職の制服について」の調査結果を見ていきましょう。結果は48.8%と半数近い人たちが「男女ともに制服のほうがよい」という意外な結果が示されています。

 

その理由については「制服があった方が統一感があると思うので(40代・男性)」「服を買わなくて済むし、毎日着る物に悩まなくていいので楽そう(40代・女性)」「制服だけ着ていればいいので、スーツ代がかからなくて良い(50代・男性)」などの声がありました。

「制服」を着ることで、気持ちの引き締め、間接的なお金・時間の節約につながることにメリットを感じている人が多いようです。

一方、「男女ともに制服ではないほうがよい」は34.6%で、「制服撤廃」派が著しく少ないわけでもないようです。

その理由については「個性も出るし自分に合う形やサイズ感があるから(40代・女性)」、「私服の方がテンションがあがる。温度調節しやすい(30代・女性」、「別によって制服を分けることで不快に感じる人がいるから(20代・女性)」などがありました。個性重視やジェンダー平等の考え方などもあり、制服を望まない人も一定数いることがわかりました。

銀行の女性行員の制服については、世代によって意見・見方が異なる

では、冒頭でも触れた「銀行で女性行員だけが着る制服の廃止」についての調査結果を見てみましょう。「よいと思う」が45.8%と、「銀行の女性行員の制服撤廃」に対し、賛成派がこれまた半数近くいることがわかります。

 

「よいと思う理由」としては、「女性だけというのは時代に合わない感じがするから(30代・女性)」「女性でもパンツで仕事をしたい人もいるはず。今時ナンセンスだと思う(40代・女性)」「海外では制服がなかったのを見てきているので、制服がないほうが自由でいいと思います(70代・女性)」などがありました。

逆に24.2%の人が答えた「よいとは思わない」の理由では、「顧客と行員の区別がつかない(60代・男性)」「制服のほうが信用できる(50代・女性)」「女性はメイクする化粧品などにもお金がかかるので制服があったほうがいいと思う(30代・女性)」といった声もありました。

これら双方の結果に対し、年齢別の集計も見てみましょう。

 

若い世代では「賛成派」が半数以上を占めているのに対し、多少の増減はありながらも、年代が上がるにつれて徐々に「賛成派」に数が減っていき、70代以上では33.8%になりました。この点は、想像しやすい結果で、ある意味で「若い世代」「年配の世代」での考え方・ライフスタイルの違いを表しているようにも感じられます。

「会社の制服」賛成派が望む「会社の制服で重視すべき点」とは?

このように「会社の制服」に対する思いは様々ですが、仮に「勤め先に制服がある」場合、どんな制服が望ましいかを見てましょう。「男女ともに制服のほうがよい」「男性のみ制服のほうがよい」「女性のみ制服のほうがよい」と回答した278名の方を対象に答えてもらった「企業が制服を決める上で大事だと思うこと(着用する側として重視してほしいこと)」の結果です。

圧倒的に多かったのが「清潔感」の81.7%、「動きやすさ」の75.2%。「デザイン性」「安全性」「信頼性」「高級感」といったことを求める人はいずれも半数以下となりました。この結果からうかがえるのは、そもそも「会社の制服賛成派」の人、「働く」ということの本質を優先した考えを持っており、それ以外の付加要素は二の次に考えることが多いのではないかということ。同時に、職種にもよるものの、一概に「会社の制服・全撤廃」はナンセンスであるということを、多くの人が思っているようにも感じられました。

一概に「会社の制服、絶対に必要ない」とは言い切ることができない

 

「就労スタイルの多様化」が進み、「個性を尊重する・許容する」ことが、ある面で「社会の美徳」とされている今ですが、肝心の「働く側」にとっての「会社の制服」に対する思いは実に様々であることがよくわかりました。また、一概に「会社の制服とか絶対必要ない!」とも言い切れず、この点は職種・会社組織ごとに考え方が違って良いのではないかとも思いました。

ここまで読んでくださったあなたは、どう思われましたでしょうか。前述のような「就労スタイルの多様化」なども含めて、「会社の制服」に対する考え方・コンセプトを、企業側は改めて構築し直す時期のようにも思いました。

「企業の制服に関するアンケート」調査概要
調査期間:2022年3月31日~4月9日
<集計対象人数:480名(20代以下・30代・40代・50代・60代・70代以上 各年代80名)
調査対象者:事前調査で「以前、就労していた」もしくは「現在、就労している」と回答した男女
引用元:「日本トレンドリサーチによる調査」

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