従来、学校の制服は「男子はズボン、女子はスカート」と規定されていましたが、気候の変化や本人の意向に合わせて着用する制服を選択できる“選べる制服”の採用が広がっています。「女子の制服でスラックスを選ぶことができる」高校の割合を調べたところ、全国で44.4%あることが分かりました。なお、「女子のスラックス制服」採用率を都道府県別にみると9割近い県がある一方で1割未満の県もあり、地域によって差があることも分かりました。
CCCマーケティング株式会社などが取り組んでいる、中高生から20代の若者世代と政治・社会をつなぐソーシャルプロジェクト「学校総選挙プロジェクト」で、47都道府県の教育委員会の協力のもと、各都道府県立の全日制高等学校3205校を対象に調査。このほど結果を公表しました。
制服が指定されている学校(3073校)のうち、「女子のスラックス制服」採用率は44.4%でした。なお集計時には、女子のスラックスが制服として用意されていても、トランスジェンダーの生徒が実質的なカミングアウトになることを避けるため、「異装届」や「特別な理由の提出」が必要な学校、また「男子生徒の制服を着用する」ことになる学校はカウントしていないそうです。
また都道府県別に採用率をみると、1位「長野県」(87.8%)、2位「滋賀県」(86.4%)、3位「神奈川県」(84.3%)、4位「千葉県」(77.3%)、5位「大阪府」(75.2%)となりました。
その一方で、採用率10%未満は「岩手県」「愛媛県」「青森県」の3県。また10%台は「鹿児島県」「広島県」「香川県」「熊本県」「石川県」「富山県」「秋田県」「福井県」の8県。20%台は「宮崎県」「奈良県」「静岡県」「高知県」「茨城県」「佐賀県」「福島県」「兵庫県」の8県となりました。
▽浦和大学社会学部准教授・林大介氏のコメント
社会環境が大きく変化している現在において、「女性=スカート」といった押し付けは、教育現場が思考停止に陥っていると言えます。そもそも制服について理解したうえで入学するとはいえ、快適な学校生活を過ごすために、制服にはどのような役割があるのでしょうか。制服が持つ意味や役割、これからのあり方について、学校の主人公である高校生自身が、自分事として考え、友だちや教職員等と話し合い、よりよい改善につなげていくことは、主体的で対話的な深い学びの実践となり、生きる力を育てることにつながります。学ぶために我慢するのではなく、学びやすい環境に変えていくことが、何よりも大事だと考えます。