ネット型政党は日本でも受け入れられるのか 参院選の台風の目といわれる「参政党」ってどんな政党?

村山 祥栄 村山 祥栄

5月31日、京都の繁華街河原町に500人の聴衆が集まった参政党の街頭演説会。

聞いたこともない政治団体に驚かれた方も多いはずだ。それもそのはず、東京新宿では1000人、大阪、神戸、また各地方都市でも数百人レベルでの街頭演説会が連日繰り広げられている。ネットに公開されている寄付総額は2億円を越え、党員も3万人に達したという。

どこかの大きな組織がバックにいるのかと思いきや、この参政党なる政治団体はネットを中心に広がりを見せるネット型政党なのだ。分かり易く言えば、NHK党と同じような広がりをしている。ただ、N国党が「NHKをぶっ壊す」というワンイシュ(単一争点)なのに対して、参政党は教育から国防まで総合的な政策で耳目を集めている。政策は外国企業の土地買収・企業買収の規制や教育における自尊史観の定着などかなり保守色の政策が多く、同じくネットと街頭を中心に支持を広げるれいわ新選組の対極的な立ち位置にいる。同時に、暗記型の教育から探求型教育へ転換や無農薬農業の推進などといった近年のトレンドをとらえた政策も並ぶ。

組織の中核は事務局長の神谷宗幣元吹田市議で、組織運営や精神的支柱、党の広告塔を一手に担う。彼の演説に魅了される支持者も多く、その点でもれいわ新選組の山本太郎氏に共通するものがある。元々、吹田市議として二期活動した後、全国の若手議員を集めた竜馬プロジェクトの会長を長年務めた活動家だ。2012年衆院選の落選後、2013年にCGSという教養系ユーチューブチャンネルを開設し、チャンネル登録者数は27万人を数える政治系屈指のチャンネルに成長をさせた経歴の持ち主だ。(政治系ユーチューバーKAZUYA氏なども当時は一緒に活動していた。)

このCGSのファンとそのスピンオフで生まれたリアル授業を行うイシキカイカク大学の受講者が実は参政党の核になっており、そういう意味では、今までになかった政治スタイルが生まれようとしているのかもしれない。

 

6月22日告示の参議院選挙に向けては、テレビでおなじみだった武田邦彦元大学教授やユーチューブチャンネルの登録者数24万人を数える松田学元衆院議員、歯科医師の吉野敏明氏など5人が参院選の全国比例の候補者に名を連ね、各選挙区でも続々と候補者を擁立している。

既に全国区では1~2議席程度確保するのではいう声も多く、選挙区では当選者こそ厳しいものの、保守色の強い政策は安倍元首相の支持基盤と言われた保守層にかなり食い込みをみせており、選挙区によっては勝敗を決める台風の目になることは必至だ。

いずれにせよ、海外ではメジャーな勢力になりつつあるネット政党だが、日本でどんな広がりを見せるのか、非常に興味深いところだ。

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