国際ロマンス詐欺をご存知でしょうか。TwitterやFacebookなどインターネット上で見つけた海外の相手を言葉巧みに騙し、相手の恋人やフィアンセになったかのように振る舞い、甘い言葉でその気になった相手から金銭を送金させる特殊詐欺のことをいいます。日本でも国際ロマンス詐欺の被害があとを絶ちません。実際に国際ロマンス詐欺の加害者からメールが届いたMさん(専業主婦・40代)にお話を伺いました。
―最初はどのような内容のメールが来ましたか?
SNSのDMに突然外国人から英語でメールが来ました。「僕はアメリカの兵士でマークといいます。妻を亡くし先日娘を亡くし家族がいない、生まれも孤児」「僕はとても孤独だ」という内容とともに軍人の写真が送られてきました。「この写真は誰にも見せないでくれよ。軍の機密情報だから」「君にだけ特別に見せてあげる」と、そのあとは戦地の写真が何枚も送られてきました。
―メールを読んだ感想は?
アメリカ人なのに「英語が変」なことが気になりました。私は数十カ国の渡航経験と留学経験があったので、不自然な英文に違和感を覚えました。おかしな文法や英単語を使うので明らかにアメリカ人ではないということに気が付きました。しかし、とりあえずその時点では目的もわからなかったので、怪しいので泳がせてみることにしました。
―どこで詐欺だと確信しましたか?
米軍人のマークから会ったこともないのに「君を愛している」「君に会いに今すぐに日本に行きたい」「住む場所を探してほしい」「僕のフィアンセよ、君に会いたいが日本に行くお金が足りない、今すぐお金を送ってくれないかい?」とお金のことを言い出したので、これは間違いなく詐欺だと確信しました。
私の場合、最初のやりとりから数日で送金の話が出たので、その時点で泳がせることをやめ相手からの連絡をブロックしました。
国際ロマンス詐欺の見抜き方について
加害者のメールを受け取ったMさんから、実体験をもとに詐欺の見抜き方について伺いました。
▽加害者は職業を偽って近づいてくる
軍人や医者・投資家・パイロットなどの職業に要注意といいます。
▽送られてくる写真がすべて偽物
送られてくる写真がすべてネット上でのいわゆる拾い画のため、画像検索をしてみると同一の写真がヒットすることがよくある。パスポートなども偽造写真。
▽メールの内容が特徴的
配偶者の死、子どもの死、孤児、孤独など同情を引く内容になっている。
▽恋人を思わせるような甘い文
「I love you」「I miss you」「結婚しよう」「大好き」「君はとても美しい」「おやすみプリンセス」など甘い文言で相手をその気にさせる。
▽お金の話をしてくる
「あなたに会いにいくお金が必要だ」「トラブルが発生したからお金を送ってくれ」などお金を要求してくる場合や投資の話を持ちかけてくる。
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「どんなやり取りでもそうですが、見ず知らずの方には絶対に自分の情報は教えないことが大切」と、Mさんは語ります。Mさんはメールの真意を探るためしばらく様子見をしていましたが、やり取りしている間に深入りしてしまったというケースもあるそうなので、「怪しいメールには最初から関わらないほうが賢明」とのことです。
国際ロマンス詐欺による傷心
甘い言葉に女性は恋心を抱きなんとかしてあげたい、彼を助けてあげたい、という優しい気持ちから、相手に言われるがまま送金してしまうケースが相次いでいます。もちろん女性だけではありません。男性の被害者も増えています。恋をすれば周りが見えなくなってしまうことは誰にでもあることです。
しかし、国際ロマンス詐欺は残酷なもので、相手の恋心を利用し送金させた後は、音信不通になってしまうといいます。被害者はお金を失った怒りよりも、恋人だと信じていた人から裏切られた悲しみや怒り、絶望のほうが何百倍も心に大きな傷として残るといわれています。
もし今メッセージのやり取りをしている相手の話の内容がおかしいなと感じた方がいましたら、今一度冷静に考えてみてください。