元ボクシングWBA世界ライトフライ級王者でタレントの具志堅用高さんの「そっくりさん」を起用した愛知県警半田署の特殊詐欺撲滅ポスターが「本人かと思ってた」「判別できない」と話題です。事務所には許可を取っているといいますが、注目を集めていることをご本人はご存じなのでしょうか。具志堅さんはまいどなニュースの取材に対し、「そうみたいね」と笑い、若かりし頃のお金にまつわる苦い記憶も語ってくれました。
「ハタチのときにだまされて…」
──愛知県警の詐欺撲滅ポスターに具志堅さんのそっくりさんが登場し話題です。
「ああ、そうみたいね(笑)」
──モデルになったのは地元漁師の森下清さんですが、「具志堅さん本人じゃないの?」という声もあるぐらい似ています。
「本人には会ったことはあるんですよ、テレビの番組で。(自分と似てる)雰囲気はあるけど、体が違うね。こっちはフライ級で向こうはミドル級。背も大きかったですね」
「あと、やっぱり性格は優しかったね」
──そこは具志堅さんと似てますね。
「家族思いで、孫がたくさんいると言っていたかな。うちは5人だけどね。うちの倍ぐらいいたような気がする。名古屋のために一生懸命やってくれるんじゃないかな」
──今回のポスターは特殊詐欺撲滅の呼び掛けですが、人生の先輩として、人にだまされないためのアドバイスはありますか?
「私は二十歳のときにファイトマネーをだまされて持っていかれちゃったからね、45年前。最初のファイトマネーだから手取り80万円ぐらいでしたね。まあ45年前だから大きいですよね。今で300万ぐらいですね。家族の病気のことで急にお金が欲しいということで。それで貸したんだけど」
──そんな苦い思い出があったんですね…。
「『お金を貸してくれ』って言った瞬間、そこで友達なくすよね。そういうのは1回で友達なくすんですよ。大金だったら、何十万貸してくれだったら『ない!』とはっきり言うよね。ファイトマネーを持っていかれた経験をしてからは、二度と詐欺にはあってないけどね。経験ですよ」
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テレビのバラエティー番組では愛嬌のある、ちょっととぼけたコメントが人気の具志堅さん。しかし、お金にまつわる怪しい話には「毅然とした態度で、キッパリと断ることが大切だ」と教えてくれました。「最強王者」と呼ばれる具志堅さんだからこその、威厳のある姿を垣間見た気がしました。
▽具志堅用高さん…1955(昭和30)年6月26日、沖縄県石垣島出身。WBA世界ライトフライ級チャンピオン13度連続防衛。1974年5月ボクシングプロデビュー。1976年10月WBA世界ライトフライ級チャンピオン獲得(当時はWBA世界ジュニアフライ級)。1979年1月、世界タイトル連続防衛日本記録達成。1980年10月、世界タイトル連続13度防衛。1981年3月引退。戦績24戦23勝(15KO)1敗。