家族葬に父の愛した大型バイクを展示「悲しみよりも愛の詰まった葬儀」…今は娘がバイカーとして、父が走った道をツーリング

宮前 晶子 宮前 晶子

「父が他界しました。 バイク好きと言う事で、斎場の中に展示していただくことが出来ました。体調が悪く、ツーリング出来たのは2回でしたが、一人で27000キロいろいろ行ったみたいです。バイクに乗って集めた御朱印とウェアは 父が天国に持って行きます」

愛してやまないバイクや家族に見送られた父の旅立ちを知らせるSNS。投稿した娘のHalu**熊本(@Halu_uzuki、以下Halu)さんに、お父様との思い出を聞きました。

Haluさんはお父様のアカウントで、「このアカウントの主が、昨日永眠いたしました。斎場にバイクを飾っていただきました。 余命宣告されてから熊本に帰って、バイクに乗ってました。 父の生き甲斐だったバイクは私が乗れるよう、大型取りたいと思います。 関わってくださったフォロワー様ありがとうございました。娘」と、フォロワーの方々にお知らせするために投稿。

「ものすごくバイクが好きだったんでしょうな・・・バイクを見て分かりました」「素晴らしいバイク愛」
「SS乗りとして生涯を閉じるなんてカッコよくてイカしたお父さま」
「あの世に行く時はバイクで行ってると思います。 そして、お盆になったらバイクで帰ってくる」
「最高の親孝行出来て良かったですね」
「実家の本棚の前に立つと、読書好きだった父との記憶が蘇ります」
「悲しみよりも愛の詰まった葬儀、私もそうやって送り出せるようになりたい」

Haluさんのもとには、バイク好きや、ご自身のお父様を亡くした人などから、心のこもったコメントが寄せられました。

「生前、お世話になった感謝を伝えたくて」ツイートしたというHaluさんに、お父さんのこと、葬儀のことなどを聞きました。

「いつか父のバイクで父の行った場所へ」

−−バイクを愛する人のコメント、みなさん優しいです。

「暗いツイートになってしまう、と迷いましたが、合計約3.3万件ものいいね!があり、驚いています。単身赴任時代の知り合いの方からもご連絡いただいて、その頃の父をあまり知らない家族としては、とても嬉しかったです。

DMで父が写った写真を送ってくれる方もいました。ソロツーリングが多かったと本人から聞いていたことと、あまり人と群れたがらない父だと思っていたので、いろんな交流があったことが意外でしたし、嬉しかったです。闘病中、バイクと父の写真をなんとかして撮れないか、とTwitterで質問した際も、『私がバイクをトラックで運びますよ!』『この場所ならゆっくり写真撮れますよ!』などとアドバイスのDMをいただいて。やはりバイクに乗る人は仲間意識があって優しいなと思いました」

−−葬儀場にバイクを運び込んで一緒に見送るというのは、ご家族のご希望で?

「家族葬だったのですが、お通夜が始まる前に、親戚(父の妹の旦那)が、『過去に葬儀にバイクを運んでいた人がいた』と教えてくれて、その親戚が『父のバイクを持ってくることも可能だよ』と運んでくれました!

家族で話し合って、葬儀場の方にも相談して、すぐに許可をいただけたので、お通夜から出棺までずっと父のそばにバイクを展示できました。バイクを褒められるのが好きな父だったので、親戚にバイクを見せることが出来て喜んでいたのではないかと話になりました。棺にバイクウェアも入れていたので、『ホントに好きだったんだねー』と言われました。対応してくださった、葬儀場の方に改めて深く感謝しております」

―−心のこもったお見送りがみなさんの共感を呼んだのだと思います。

「父のアカウントの方に、『故人のご冥福をお祈り申しあげます お父さん幸せだったね 最後に大好きなバイクを飾ってもらって 人生最後に選んだバイクを娘さんが乗ってくれる こんなに幸せな事ないですよ お父さん喜んでるはずです 同じ娘をもつおじさんライダーですが涙が止まりません』とリプライをいただいて、バイクを飾る事自体、不謹慎と思われるのではないかと思っていたのですが、『父が喜んでる、幸せだと思う』と書いてくださり、嬉しかったです」

――お父様は、Haluさんのお母様=奥様にバイク乗りを反対されて単身赴任先でこっそり乗り始めた、とのことですが…。

「若い頃、バイクに乗って事故したことがあったようで、母からは止められていました。普通二輪は持っていたのですが、単身赴任中に仙台で大型二輪の免許を取得して、『お母さんには中型も大型もわからないから(笑)』と言ってました。本当は、母を後ろに乗せて2人で出掛けたかったようですが、母も怖がって叶わなかったようです」

――リプライには「かっこいいお父さん」という声も多かったです。

「調理師で朝早くから夜遅くまで仕事で家にいない人でした。休みは平日ばかりなので家族で出かける事はあまりありませんでしたが、休みの日は家族に料理を作ってくれていたのが思い出です。父の影響で、私も小さい頃から車やバイクが好きで、いつかバイクに乗りたいとは思っていましたが、きっかけと勇気がなく…。

『ツーリング相手がいない。バイクの話が出来る人がいない』とボヤいていた父の病気がわかって熊本に帰ってくるとなったので、一緒に走れれば…と、私も普通二輪の免許取得に行きました」

――では、父娘でツーリングすることもあったんですね。

「私の免許取得に時間がかかったことと、父の体調の関係で一緒にツーリングできたのは2回でした。 でも、ヘルメット選びも一緒に行きましたし、教習所でのバイクの乗り方やコースでのコツなど、父がよく教えてくれてました(笑)。

父は体調不良がきっかけで癌が見つかったのですが、単身赴任中で気づけなかったことが家族として心残りです。だから、父と同じ年代の方やその家族、バイカーの皆さんが健康に気をつけつつ、安全にこれからも過ごして欲しいと思います」

◇  ◇

「大型二輪の免許を取得して父のバイクで出掛ける事が目標ですが、仕事と家庭のこともあるので、時間は掛かると思います。 普通二輪も時間が掛かったので…(笑)。でも、Twitterでいろんな方から応援の言葉をいただいたので、変な自信になっています」と話すHaluさんは、時間を見つけてはお父様の走った道を走り、お父様が見た景色を目に焼き付けていっているそうです。

「改めて父がバイクを大事にしていたことがわかり、引き続きバイクを大切にしたいと思っています。いつか、父が行った場所に父のバイクを連れていけたらと思います」。

■投稿者である娘さんのHalu**熊本 https://twitter.com/Halu_uzuki

■亡くなったお父様のTwitter ジャガ.イモ@KawasakiZX-6R G https://twitter.com/dwlol7okms0tz7l

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