地元民も知らない?山中で天空の日曜市 京都タワーを見下ろせる「鷹峯メルカート」を開催

山本 智行 山本 智行

 ここは天国か楽園か。京都市の北の外れ、鷹峯(たかがみね)からさらに奥へ上がった山中にポツンと一軒家がある。京都のイタリア料理界で知る人ぞ知る福村賢一さん(75)が主宰する「フクムラ山の家」。2020年7月から日曜市「鷹峯メルカート」を開いており、今年も4月から始まった。入場無料。野菜やワインが出店され、乗馬も楽しめる。

 もしかすると、ほとんどの京都人にも知られていないかもしれない。何しろ、ここは京都北山の隠れ家。鷹峯の光悦寺からから4キロ近く山中に分け入ったところにある。狭い林道は対向車が来ないことを祈りたくなるほど。やっとの思いでたどり着くと、眼下に京都の市街地がこつ然と広がっていた。

 「ようこそ、お越しくださいました。大自然の中、おいしいものをたくさんいただいて、楽しんでください」

 声の主は福村賢一さん。1973年に京都・富小路にイタリア料理店「フクムラ」をオープンして以来、第一線で活躍してきた業界のレジェンドだ。当時はまだ京都に本格的なイタリアンは少なく、本場で修業した福村さんのお店は、自家製の生パスタがいただけるとたちまち評判に。「野菜も自分ところの畑や友人がつくったものを提供するなど、みんなで支え合って来ました」

 2005年にオーナーシェフとして中京区の柳馬場に立ち上げた「Ristorante STRADA(リストランテ ストラーダ)」は予約が取れないほどの人気店に。その間に福村さんは奥さんの京子さんとともに自然を求めて、現在の「フクムラ山の家」に移り住み、18年にはレストランを後進に譲った。

 「野鳥が好きで四季を感じたいと思い、市内からこっちへ。馬も飼いたかったし、ニワトリを飼って卵を産ませたり。このあたりは野花もきれいなんですよ。何より愉快な仲間と集まれるのが楽しい」

 本場イタリアにも多くの友だちがおり、陽気な性格の福村さん。リタイア後の隠居生活に満足できるはずもなく「コロナ禍でも、何かおもしろいことをやろう」と始めたのがこの「鷹峯メルカート」だ。

 「みんなが自分がつくったものを持ち寄って提供し合えるような場所があればと思ったんです。笑顔が広がるような場所がね」

 メルカートとはイタリア語で「市場」の意味。2020年7月5日から毎週日曜日の10時から15時まで開催している。もっとも「今出川通を超えると1度、北大路通り超えるとまた1度、北山通りを超えるとさらに1度下がる」と言われる京都。12月初旬から3月末まではオフシーズンとなっており、この4月3日に待ちに待った3年目がスタートした。

 出店は「とれたての季節の野菜」「お米・山菜」「革製品」「ペイントグッズ」「木工品・陶器」「ワイン」「コーヒー」「オリーブオイル」などなど多岐にわたり、イタリアンカラーのテントが彩りを添える。コーヒーやワインをいただきながらの青空バザーとあって、気分は晴れやか。さらに、出品しているのはロディーさん、チョビさんら人生経験豊富な達人ばかりとあって、会話も味わい深い。

 もちろん、お楽しみはこれだけではない。福村シェフが腕を振るうレストランではパスタや産みたての卵でつくった料理、ローストチキンなども味わえる。その上、ときどき、俳優の芦屋小雁さんが訪れ「小雁の世界」として絵画を展示。一段坂を下れば、そこで乗馬体験もできる。

 鷹峯がある場所は地上160メートルの京都タワーと同じ高さ。フクムラの家はさらに、それよりも高いところにあり、吹き抜ける風はとことん爽やか。こんな居心地のいい場所が、京都市内にあったなんて。あまり知られたくないな、と思っていたら何と15日の読売テレビのバラエティ番組「大阪ほんわかテレビ」で紹介されるとのこと。そりゃ、そうだよね。

 福村さんの人脈の広さから運が良ければ、スポーツ界や芸能界の著名人がひょっこり顔をのぞかせていることもあるとか。「みなさまのお越しをお待ちしています」と福村さんは話している。

▼フクムラ山の家
京都市北区鷹峯長坂1、電話075(491)0900
革製品RODY'S STABLE(http://www.eonet.ne.jp/~rody/
ペイントグッズArt ChoB(coyote103412@gmail.com

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