あの「地球の歩き方」に「京都」版が登場 数ある旅行ガイド本と何が違う?

堤 冬樹 堤 冬樹

 海外旅行のガイド本で知られる「地球の歩き方」に今春、京都版が初めて登場した。既に数多くの「京都本」が書店に並ぶ中、「ほんまもんの京都」の魅力をたっぷりと盛り込み、他にはない一冊に仕上げたという。

 「地球の歩き方」は1979年創刊。これまで取り上げた国・地域は160以上、発行部数は年間約800万部という海外旅行ガイドのバイブル的存在だ。

 「地球の歩き方 J03 京都 2023~24」(株式会社地球の歩き方発行)は、国内版の第3弾として3月17日に発売された。第1弾の「東京」は、東京五輪を見据えて企画され、20年9月に刊行。コロナ禍による国内旅行への意識の高まりもあって好評を博し、読者から「次は京都を」と求める声が多かったという。

 1年がかりで製作した「京都」は、別冊の地図を含めると500ページ超の厚みで、情報がぎっしり詰め込まれた感じだ。「本当の京都を感じられる」見どころや食、宿や土産品をはじめ、旅のお勧め558件を厳選して掲載している。

 単なる定番紹介に終わらず、例えば世界遺産・清水寺については、ビル4階の高さに相当する「清水の舞台」から実際に飛び降りた人の数や理由を解説。また、京都駅の情報に合わせ、島津製作所や任天堂を含め「意外に多い、京都に本社をおく企業」と題したコラムを配するなど随所に雑学をちりばめた。京の風情を味わってもらおうと、章立てに「町案内」「美食」「宵遊び」といった和の言葉を採用し、誌面の色合いも平安の伝統色で統一した。

 京都市以外の紹介にも多くのページを割き、既存のガイド本との違いを打ち出したという。丹後半島の伊根の舟屋群(伊根町)、明智光秀が築城し、府内で唯一登れる天守閣がある福知山城(福知山市)、4月に深紅のキリシマツツジが境内を彩る長岡天満宮(長岡京市)など、府南部から中部、北部までくまなくカバーした。

 編集に携わり、自身も府北部の舞鶴市出身という地球の歩き方出版編集室の保理江ゆりさん(37)は「京都と言えば『京都市』のイメージが強いと思うが、面積だと8割以上がその他の地域で、港町や山など自然豊かな風景がある。知られざる町を紹介することで、新しい魅力を知ってもらうことが『地球の歩き方』の姿勢」と力説する。

 さらに、8ページにわたる「年表でみる京都の歴史」では、京都盆地に人が住み始めた1万年前から新しいホテルが創業した令和まで、京都史をまるごと概観できる。社寺の創建や老舗店の創業、府内自治体の設置年なども細かく記載した。

 地球の歩き方シリーズでおなじみの「旅の安全情報とトラブル対策」「習慣とマナー」といったページも健在だ。エスカレーターの項目では「京都駅構内や市営地下鉄は左側、阪急沿線は右側に立つ人が比較的多い。迷ったら列の先頭にならうのが無難」とアドバイスしている。

 A5変型、定価2200円。保理江さんは「旅行者だけでなく、京都府民の方々にとっても魅力の再発見につながる一冊」と強調。「名所や旧跡、歴史や文化体験など京都を構成するいろんなテーマの入り口をたくさん用意した。皆さんなりの京都を深めるきっかけになれば」と話している。

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