178人の「タナカヒロカズ」さん集結 同姓同名ギネス挑戦イベントに参加の男性が感じた「妙なシンパシー」  

京都新聞社 京都新聞社

 全国の「タナカヒロカズ」さんが一堂に会し、同姓同名の人が集うギネス世界記録に挑戦するイベントが10月29日、東京都内で開かれた。参加者はニックネームをつけて呼び合うが、京都市伏見区から初めて参加した「フェイゲンの田中宏和」さん(41)は「小さい頃は平凡な名前やなと思っていたが、こんな貴重な経験をできるとは」と名前に感謝している。当日は178人が集まり、見事ギネス記録を達成した。

 「タナカヒロカズ運動全国大会」と銘打ったイベントで、一般社団法人田中宏和の会が催した。きっかけは、1994年のプロ野球ドラフト会議。イベントの呼び掛け人で、京都市出身の「ほぼ幹事の田中宏和」さん(53)=東京都=が、近鉄(現オリックス)から1位指名された田中宏和選手を、自分が指名されたと勘違いしたことから始まった。

 米国で164人が一堂に会した「マーサ・スチュワート」さんが同姓同名の最大の集まりで、「田中宏和」さんはこれまで2度更新に挑んだが達成ならず。今回は漢字が違う「タナカヒロカズ」さんにも門戸を開き、世界一を目指した。

 「フェイゲンの田中宏和」さんは2年前、米国のミュージシャン、ドナルド・フェイゲンの楽譜を買い、自身のフェイスブック(FB)に写真をアップした。すると、「ほぼ幹事の田中宏和」さんからFB上でコンタクトがあった。その後、京都で会うなど親交が生まれ、今回のイベント参加を決めた。

 「フェイゲンの田中宏和」さんが、初めて同姓同名を意識したのは大学生の時。献血に行くと必ず受付で、京都とは違う、ある都道府県での居住歴がないかを尋ねられたという。あまりにも続いたので聞き返すと、血液型や生年月日まで同じ田中宏和さんが存在することが分かった。銀行口座の開設やクレジットカード作成でも毎回同じことを聞かれ、うっとうしく感じることもあったが、田中宏和運動と接点ができ、ポジティブに捉えられるようになった。「きっとあちらの方も京都に住んだことがないかをよく聞かれているはず。もしかしたら今度のイベントで会えるかもしれない」

 両親から「姓名判断がいい」と聞かされてきた「フェイゲンの田中宏和」さん。3年前に伏見区のライブハウスで、別の田中宏和さんに初めて出会い「妙な親近感」を覚えたという。

 「楽しみ半分、開けてはいけない扉かなと思うのも半分」と複雑な心境を抱えて参加したイベント当日。受付で、ギネス記録に並ぶ164人目のゼッケンを受け取り、最終的に178人のタナカヒロカズさんが集結した。その後の懇親会では大勢の同姓同名の仲間と交流。「名前は一緒だが、見た目も性格も人生そのもの違う。妙なシンパシーを感じながら、楽しく、刺激的で温かいコミュニケーションの時間を送ることができました」と喜んだ。

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