多様な働き方、キャリアの積み方がある中で、今どきのビジネスパーソンはどのような「キャリア志向」を持っているのでしょうか。そこで、全国の現役ビジネスパーソン470人(20代~40代・男女)に、「キャリア志向」についての調査を行ったところ、50.6%の人が「ゼネラリスト(管理職)でキャリアを積みたい」と回答。また、49.4%の人が「スペシャリスト(専門職、技術職)でキャリアを積みたい」と回答し、ほぼ半々に分かれる結果となったそうです。
総合転職エージェントの株式会社ワークポートが、2022年2月に実施した調査です。
コロナ禍以前と比べて「自身のキャリアについて考える機会は増えましたか」か聞いたところ、「増えた」と回答した人が74.0%に及ぶ結果となりました。
また、「自身のキャリアについてどう感じていますか」と聞いたところ、「とても不安」と答えた人が36.2%、「やや不安」と答えた人が46.2%となり、あわせて82.4%もの人が自身のキャリア形成について不安を抱えていることがわかったそうです。不安についての具体的なコメントは以下の通りです。
▽キャリアに対してどんな不安があるか
・会社の将来性が不安(30代・男性・クリエイター)
・今の職場で自身の描くキャリアが手に入れられるかどうか不安(40代・男性・金融)
・将来的に家族と自分を守れるだけの給与=評価が得られないのではないか(40代・男性・管理系)
・これまでの経験が他社で通用するのか不安(40代・男性・機械系エンジニア)
・このまま単一の経験で良いのかどうか(30代・男性・管理系)
・35歳を過ぎてなお、一般的な事業会社での正規雇用経験に乏しいこと(30代・男性・事務)
・年齢と共に挑戦できる機会が減少すること(40代・女性・事務)
・このまま現職にいてもこの先に何がしたいかわからない(30代・男性・営業)
ゼネラリスト(管理職)とスペシャリスト(専門職、技術職)のどちらのポジションでキャリアを積んでいきたいかを聞いたところ、「ゼネラリスト」と回答した人が50.6%で、「スペシャリスト」と回答した人は49.4%と、ほぼ半々に分かれる結果となりました。ゼネラリスト派はより広い視野を持って働きたい、人や組織を動かす経験を身につけ、いずれ経営に携わりたいという志向の人が多く、スペシャリスト派は一つの技術や知識を極めることで、自分自身の市場価値を高めて、会社に依存しない働き方をしたいという志向の人が多い傾向があるいいます。また、エンジニアやクリエイターなど、専門的な技術を売りにする職種の人はスペシャリストとしてキャリアを積んでいきたいと志望する傾向も見えたといいます。それぞれの具体的なコメントは以下の通りです。
▽「ゼネラリスト」派の意見
・不安定な時代だから、どんな場合にも通用する知識や能力を身につけたいから(20代・女性・事務)
・年齢が上がるとともに、管理職需要の方が高くなるから(40代・男性・マーケティング)
・どんな時代でも業界でもマネジメントスキルは役立つため(30代・女性・マーケティング)
・特化すると選択肢を狭める可能性がある(30代・男性・マーケティング)
・より大きな仕事に取り組みたいから(20代・女性・機械系エンジニア)
・人の成長に喜びを感じるため(20代・男性・営業)・経営者になりたい(30代・男性・管理系)
▽「スペシャリスト」派の意見
・人をマネジメントするより、自分の好きなことを極めていきたいから(20代・女性・マーケティング)
・技術を磨きたい(40代・男性・システムエンジニア)・企業に依存しない働き方をしていきたいから(20代・男性・品質改善)
・フリーランスになりたい(30代・男性・製造)・手に職を持っていた方が安定するから(30代・女性・建築土木)
・出世よりもやりがいを重視したい(30代・男性・営業)・管理職になることのメリットを感じられないため(30代・女性・事務)
「キャリアを積むためにどんな働き方を選びたいですか」と聞いたところ、「会社員として働く」とした人が51.7%、「会社員をしながら副業する」とした人が41.3%、「起業・独立する」とした人が7.0%という結果となりました。それぞれの具体的な理由は以下の通りです。
▽「会社員」派の意見
・どこかに所属するということの精神的な安心感(40代・男性・建築土木)
・安定的な基盤を築く事を優先したい(40代・男性・営業)
・独立するよりもリスクが少ないから(40代・男性・機械系エンジニア)
・起業・独立は大変そう。条件の良い会社だと、専門職の仕事に集中できる(30代・男性・建築土木)
・副業、起業する能力が無いから(40代・男性・機械系エンジニア)
▽「会社員と副業両立」派の意見
・安定と、複数スキルの獲得によるリスクヘッジのため(30代・男性・教育)
・会社員として実践経験を積みながら、自分の可能性を広げたい(30代・女性・コールセンター)
・会社員だけではなく副業もやっていくなかで相乗効果(知識経験スキル+収入)を生みたい(30代・男性・営業)
・終身雇用という概念は持たないほうがいい情勢だから(40代・男性・調査会社)
・会社に依存していたくないから(30代・女性・マーケティング)
・将来的には起業したいため(20代・男性・マーケティング)
▽「起業・独立」派の意見
・自分の可能性を信じてどこまでできるかチャレンジしたい(40代・男性・営業)
・自分自身に責任を持ちたいから(30代・男性・システムエンジニア)自らの意思で動きたい(40代・男性・機械系エンジニア)
・終身雇用がなくなる、精神的に疲れた(40代・男性・営業)
最後に、「現在のキャリアに対してどう感じていますか」と聞いたところ、社会人になる前に「思い描いていたキャリアを積めている」と感じている人は31.9%という結果に。一方で、「5年後に思い描いているキャリアを積めていると思いますか」と聞いたところ、「とても思う」が9.8%、「やや思う」が43.2%という結果となり、53.0%の人が未来のキャリアには期待感を持っていることがわかりました。
5年後に期待感を抱いている人からは、「これからの転職活動に期待している」(40代・男性・コンサルタント)、「ここ数年でキャリアについて考えることが増えたため」(30代・男性・システムエンジニア)、「社会人になる前よりは明確な目標があるから」(20代・男性・接客販売)、「思い、信念、希望を強く持ちたい」(40代・男性・運輸)などの意見が挙がったそうです。
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調査を行った同社では、「ジョブ型雇用を推進する会社が増えるなど、雇用形態の多様化がすすみ、終身雇用が当たり前でなくなった今、これからはより『個』を重視したキャリア観が定着して『キャリアは自らで切り開いていくものだ』という価値観が当たり前になる時代はもうすぐそこまで来ているかもしれません」と述べています。