「元気出た!」「私もお願いしたい」アフリカ治安部隊が育児を応援してくれる動画が話題に 運営さんの思いも聞いた

太田 真弓 太田 真弓

「アフリカ治安部隊に育児を応援してもらいました(手数料込¥6600)」と投稿された動画。

『三歳児と双子の育児がんばってれ』と書かれたボードを持つ男性を中心にいかにも屈強そうな男性9人が「三歳児と!双子の!育児!がんばってね!」と発声し、「ン~マッ」のキス後、「ポンッポンッポンッ」と3発発砲!ノリノリで各々ダンスをしたり、カメラに寄りポーズしたり…と観ているこちらが思わず笑顔になる45秒間のパフォーマンスです。こちらを依頼したもたれさん(@rur0uru)と、運営会社にお話を伺いました

「シェアありがとうございます。動画、私まで元気もらえました」
「私も3歳と0歳双子育児で2年前はヒィヒィ言うてました!もたれさん頑張ってれぇー!」
「私まで元気いただきましたありがとうございます!3歳児と双子の育児頑張ってれ」
「むちゃくちゃ良い~!!」
「素敵な情報も知れたので私も使ってみたいと思います。」
「最高です!寝かしつけ終わってどこかにいってた魂が戻ってきました。とてもいい情報ありがとうございます」
「うちも4歳と1歳半の双子がいるのでものすごく元気がでました!ありがとうございました」
「素敵です!ファンになってしまいそう…」
と、リプ欄にも動画シェアへの感謝や動画自体への賛辞が続々と送られました。

もたれさんにお伺いしました。

「どれだけ頑張っても応援されることのない育児を誰かに応援してもらいたい!」

――以前からこのようなサプライズ動画をご存知でしたか?

全く存在を知らず、既存の動画を見た家人から「部隊の人達がメッセージ読んでくれるサービスがあるんだけど」と教えてもらいました。

――動画制作を依頼しようと思ったきっかけをお聞かせください。

双子と生活を共にして2カ月が経ちましたが、本当に毎日が目まぐるしく過ぎていきます。春から幼稚園の三歳児を含めて常に子供の相手をしており、お風呂はもちろんトイレでさえ誰かしらと一緒です。3人同時にギャン泣きされる時が一番しんどく、それでも休むことが許されない毎日を心身擦り減らしながら頑張っています。そんな「どれだけ頑張っても応援されることのない育児を誰かに応援してもらいたい!」と依頼させていただきました。

――今回、「アフリカ 治安部隊からのサプライズ動画(銃発砲3発つき)」をチョイスした理由は?

家人にサービスの存在を教えてもらった際、送ってもらったのがアフリカ治安部隊さんのページでした。興奮ぎみにオーダーしたのでアフリカ治安部隊さん以外にも選べることは知りませんでした。発砲は応援されている感が出るので絶対に欲しかったです。

――動画内の「ン~マッ」の投げキッスも依頼されたのでしょうか?

オーダーしていません。自分が依頼したメッセージと3発の発砲があること以外、何も知らない状態で動画を受け取りました。

「とにかく元気のもらえる動画が嬉しかった!」

――納品された動画を観た際のお気持ちは?

最初は情報量の多さに笑顔になりつつも混乱しました(笑)。踊ってくださっている方々がそれぞれ違う動きをしていて、花を口にくわえたり、ハートマークを作ってくださったり、筋肉を披露してくださったりととても見どころが多く、何度も見ました。とにかく元気のもらえる動画で嬉しかったです!

――完成した動画を「Twitterに投稿してみよう」と思われた動機は?

オーダーした時点でどんな動画が届くかとてもワクワクしており、そのワクワクのぶつけ先として普段利用しているTwitterへ投稿しました。

――現在、当該ツイートに6.5万件のいいねがつき、大きな反響を呼びました。お気持ちをお聞かせください。

自分と同様、育児に頑張られている方が「元気を貰えた」と仰っていたり、他のことで頑張られている方からも「自分も応援されたい!」といった声が非常に多かったことが印象的でした。やはり頑張っている何かを応援されたい気持ちは共通で、誰かから応援されることはモチベーションの一つだと感じました。

――またご依頼してみたいでしょうか?またその場合どのような内容にされますか?

もしまたお願いさせていただくとしたら、子どもが全員成人した時に「育児頑張ったね」と依頼するか、もしくはその前に双子のイヤイヤ期に疲弊して再び応援をお願いさせていただくかもしれません(笑)。

なぜこのような事業を? 支援活動の内容は?

もたれさんが発注したサイト「世界からのサプライズ動画」を運営しているMIYABI INTERNATIONAL INC.(台湾・新北市)広報担当・中山さんにもお話を伺いました。

――このたびのもたれさんのツイートに大きな反響がありましたが、ご感想をお聞かせください。

とても大きな反響をいただき、私共も大変驚いております。なによりも、制作させていただいた動画がご依頼者様にご満足いただき、喜んでいただけたこと、また、多くの方に楽しくご覧いただけたことを、本当に嬉しく思っております。

――今回は「子育てを頑張る自分に向けて」というご依頼でしたが、発注の中で多い案件など教えてください。

一番多いご依頼は、やはりお誕生日のお祝いメッセージとなります。動画の出演者にお祝いされる方のお写真を持っていただくことにより、効果的なお祝いサプライズとして利用されることが多いようです。

その他には結婚祝いや出産祝い等のメッセージも比較的多いご依頼ですが、最近よく目にするのが、身近な方への「いつもありがとう」というメッセージです。こういったメッセージを目にする度に、身近な人への感謝の気持ちを忘れてはいけないなと改めて感じさせてくれます。

――今まで発注を受けた案件(メッセージ)の中で「これはユニークだな」と思った例はありますか?

ユニークなものが多すぎるのですが、最近の例で特に印象に残っているのは、「なーなの、なーなによる…」という謎のメッセージとなります。

リーダー(Reader:現地の方の発声手本となるメッセージの読み手)の中にはある程度日本語の意味を理解している方もいるのですが、このご依頼をお受けした時には、「これは何?どういう意味?」と質問され、「さぁ?」と首を傾げたことを覚えております。この謎のメッセージは当店のYouTubeチャンネルでも公開しておりますので、もし意味の分かる方がいらっしゃれば、ぜひご一報いただきたいと存じます(笑)。

元々は中国発祥の動画サービスだった

――御社がこちらの事業を手掛けることとなったきっかけや経緯などを教えてください。

元々この動画制作サービスは、7年ほど前に中国で発祥した中国人向けのサービスでした。私共がこのサービスを台湾市場に展開し始めたのは4年前の2018年、そして「世界からのサプライズ動画」と銘打って日本市場向けに展開し始めたのは3年前の2019年からです。

当初は単に商売のひとつとしてこの業界に参入しましたが、アフリカの撮影チームの立ち上げに関わったりするうちに、彼等、彼女等の貧困や経済格差などの問題、生活、衛生環境などの問題、そして差別、虐待、紛争問題等を目に、または耳にするようになりました。

同じ地球上に生きていながら、私達の住む台湾や日本の国々との差がこれほどまでに大きいのかと、衝撃を受けることも多々ございました。

このような経験を経て、何とか彼等の助けになりたいと思いながらも、小さな一企業である私共は本当に力不足であることを痛感させられる毎日でした。

しかし微力ながらも、私共にもできる現実的な彼ら、彼女らへの支援は、「雇用創出」と「寄付」であると考え、現在はこの事業に取り組んでおります。

「現地での雇用創出と寄付」を軸に

――動画を依頼することで出演者の方々の雇用や賃金を生み、彼らの生活の手助けになるんですね。ぜひ内容を詳しく教えてください。

私共が行っているアフリカへの支援活動は、2つの柱から成り立っています。

ひとつめは、雇用創出による経済効果です。アフリカの撮影チームへ発注を出すことにより、雇用が生まれ、そこで得た収入が現地で循環するという経済効果を生み出します。

もうひとつは現地への寄付です。これは弊社だけではなく、この動画を取り扱う業界全体で行っている活動となります。業界各社は、自社が得た利益の一部を現地撮影チームに託し、そのお金で食料や生活用品、衛生用品、お菓子、おもちゃ等の物資を購入してもらい、それらを必要とされている方々に配ってもらっております。

しかし正直に申しますと、私共はこの寄付活動をやめたいと思っております。なぜなら、彼ら、彼女らは寄付に頼った生活からできるだけ早く脱しなければならないと考えているからです。本来の経済活動は、各人が自身の力によって稼いだお金で行われるものです。私共の「世界からのサプライズ動画」の需要が高まれば、直接的に彼ら、彼女らの収入に繋がり、経済的な自立を促せるはずです。

このため、いま、私共がすべき最大の支援は、「よりたくさんのお客様からご注文を頂けるよう努力すること」。撮影チームが潤い、その関係者が潤い、現地が潤う、そんな好循環で将来的には寄付を行う必要がなくなることを期待しております。

――メッセージやボードの文章について、日本語の意味や内容をパフォーマンスしてくださる現地の方々は理解されてらっしゃるのでしょうか?

リーダー(Reader:現地の方の発声手本となるメッセージの読み手)の中には日本語を理解している者もおりますが、パフォーマンスを行っている出演者はそうではありません。基本的にはメッセージの意味は理解せずに、リーダーの発声を真似しているだけとなります。

しかし最近では日本語の依頼も多くなっていることもあり、出演者も「誕生日」、「おめでとう」、「ありがとう」等の多く発する機会がある簡単なワードは理解してきていると聞いております。

――「差別、虐待、いじめに繋がるメッセージ、政治的、下品、性的なメッセージ、その他不適切なメッセージの動画制作は承ることができません」という注意書きも拝読いたしました。「これを言ってもらうことはできないな」という内容のご依頼がきた場合は運営さま側で判断しているのでしょうか?

はい、その通りです。1日に数件はメッセージ修正のお願いをしており、修正に応じていただけない場合は、ご依頼をお断りしております。

企業として収益を考えた場合はどんなメッセージでもお受けするべきという考えもあるかとは思いますが、僭越ながら、当店では「世界中の全ての人々に笑顔をお届けしたい」という理念に基づき、このような対応を行っております。

当店の「笑顔をお届けしたい」対象は、お客様はもちろん、出演者や撮影チーム関係者にも及ぶからです。

――ボードは現地の方が書いてらっしゃるのですか?ボードの誤字にも「元気がもらえる!」と好意的なリプライがたくさんございました。

ボードの文字は現地チームが書いております。例のもたれ様の動画でもあったように、ちょっとした誤字や脱字は日常茶飯事となっております。あまりにも意味が分からないレベルの誤字脱字はお撮り直しすることもございますが、基本的にはそのような不手際も含めてこの動画サービスの面白さや醍醐味となっておりますので、どうか彼等の片言の日本語を寛容な心でお楽しみいただければと思います。

――こちらのサイトを運営されている上で、困難なこと、また良かったことなどございましたらぜひ教えてください。

苦労することはやはり現地撮影チームとのコミュニケーションです。中でもアフリカの撮影チームとのコミュニケーションには特に力を注いでいます。

彼らは世界中からの依頼を受けているため、1日にとても多くの撮影をこなしています。そんな中で依頼内容を正確に遂行してもらうのは一苦労も二苦労もあります。中には三度、四度と同じミスでの撮り直しを行うこともあり、私共と彼等の仕事に対する責任感や考え方の違いを痛感させられることもしばしばです。

こういった「仕事に対する責任感や考え方」を改めてもらうことも、彼らの経済的自立を促す支援活動のひとつであると考えているため、彼等には「代金を頂いている以上は、プロフェッショナルとしての自覚を持ち、依頼してくださったお客様に精一杯応えてください」と、それが彼らの安定的な雇用に繋がるものであると信じ、心を鬼にして何度も伝えております。

嬉しいことはやはり、お客様からのお喜びの声です。
「とても楽しい動画をありがとうございます!」
「サプライズ、大成功でした!」
「動画をプレゼントしたら、大笑いで観てくれました!」
こういったご連絡をいただいた時には、本当にこの仕事をやっていて良かったと思います。

「私たちに何かできることはないか?」

――貴ホームページの「ウクライナからのサプライズ動画」の“只今お取扱いできません”表示にも胸が痛みました。本当に世界中の方々が幸せに、平和に、貧困にあえぐことなく生活できたらどんなに良いだろうと思います。これからも「世界からのサプライズ動画」として取り組んでいきたいことや今後の方向性、読者の方々へのメッセージなどをお聞かせください。

爆撃のあったロシア侵攻初日から、ウクライナの撮影チームとは連絡が取れなくなっていたのですが、つい先日、メンバー全員無事との確認が取れひとまず胸をなでおろしています。しかし事態は現在も継続中ですので、彼女たちの今後についてはとても心配しております。

そして現在私共が住む台湾でも「次は我々の番かも…」という報道が連日なされており、正に他人ごとではありません。

ロシアにもウクライナにも、そしてこの状況を取り巻く各国にもそれぞれの正義や事情があることは重々承知しておりますが、それでもやはり、平和的に解決できる方法が他に無かったのかと考えさせられます。

“私達一人一人は本当に微力な存在です。しかしそんな微力がたくさんたくさん集まれば、きっとそれは大きな力になるのではないでしょうか”。これが皆様にお伝えしたいメッセージとなります。

私共は様々な国の方と協力してビジネスを行っており、その中にはロシアの方もウクライナの方もいらっしゃいます。当然のことながら、それらビジネスパートナーと政治的な話をすることはタブーとなっており、また今後も私共がサイトやSNSなどで政治的な発言や発信を行うことはございません。

しかし「私たちに何かできることは無いか?」という思いを常に持ちながら、またその「何か」が見つかった際には、その実現に向けて躊躇なく行動したいと考えております。

◇       ◇

「最近ではご注文が偏って殺到し、撮影チームがご依頼を捌ききれないという日も中にはあり、納品までさらにお待たせするケースもございます。もし可能ならば、納期が遅延することも想定していただき、少し余裕を持たせた時期にご依頼いただければと存じます。何卒ご理解賜りますようお願いいたします」と中山さん。

もたれさんがすがる思いで3人の育児に追われる自らをエールしてもらおうと行きついたこちらのサイト。シェアしてくださったパフォーミングに、観ているこちらも元気が出ました。さらに中山さんのお話を伺い、現場の方々の熱い思いの積み重ねの上に、遠く離れた国からサプライズを受け取っていることを知りました。世界中の人々の笑顔につながる動画、ぜひ依頼してみてはいかがでしょうか。

【世界からのサプライズ動画さん関連情報】

HP https://messagevideo.miyabi-international.com/
Instagram https://www.instagram.com/surprise_doga/
Twitter https://twitter.com/surprisedoga
Youtube https://reurl.cc/Npq56m

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