血液が「ドロドロ」ってどんな状態?―濃度のことではありません 血液から分かるリスクや病気を医師が解説

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 血液が「サラサラ」「ドロドロ」という言葉はよく耳にしますが、実際に血液がどのような状態を指すのか知っていますか? 血液そして血管の状態が悪化すると、脳梗塞などの病気を引き起こすことも。今回は「血液の健康」について、吉田病院付属脳血管研究所(神戸市兵庫区)の吉田泰久院長に詳しく聞きました。

――よく「血液がドロドロだと脳梗塞などになりやすい」などと聞きますが、そもそも「ドロドロの血液」とはどんな状態なのでしょうか?

「ドロドロ」「ネバネバ」と聞くと、血液そのものが流れにくい性質になっているという印象を持ちますよね。ただ、実際に血液がそのような状態になることはまれです。血液は、赤血球・白血球・血小板で構成される細胞成分(血球)と、血しょうと呼ばれる液体成分からできていて、血球が増えるとトロトロになり詰まりやすくなります。血球が急激に多くなるのは、例えば白血病を発症したり、脱水状態になったりした時です。

――なるほど。では「血液がドロドロ」という表現は、濃度ではないのですね。

はい。一般的に「ドロドロの血液をサラサラにしましょう」と言っているのは、血管が詰まりやすい状況、つまり動脈硬化を予防しましょうという意味ですね。

――動脈硬化の原因として考えられることは何でしょうか?

高血圧、糖尿病、脂質異常症(高脂血症)です。日常生活における運動不足、脂っこい物や甘い物の過剰摂取、喫煙も動脈硬化に繋がります。また、強いストレスによって血圧が上がる場合もあるので注意が必要です。

――動脈硬化、つまり血液が詰まりやすくなっている時、自覚症状はあるのでしょうか。

動脈硬化はひっそりと進むため、自覚症状はありません。だからこそ、予防が大切なのです。

――となると、血液検査などで確認することになりますが、どの数値を見れば動脈硬化と分かるのでしょうか?

代表的な動脈硬化の原因が脂質異常症ですので、コレステロールの値をチェックしましょう。コレステロールには善玉と悪玉の2種類があり、悪玉コレステロール値が高いと要注意。悪玉コレステロールは血管の壁に溜まるため、血管を狭くします。さらに、悪玉コレステロールが壁の表面からはがれると血液が固まり、血栓ができてしまうのです。これが血管を詰まらせることで起こるのが脳梗塞です。

――動脈硬化は自覚症状がないため、定期的な血液検査が重要になりますね。

そうですね。他にも、動脈硬化を防ぐために普段の生活でできることもあります。血圧を測るなどして毎日の体調管理をする。そして、バランスの良い食生活や適度な運動、ストレスを溜めないように十分な休息を取ることも心がけましょう。

◆吉田泰久 社会医療法人榮昌会 吉田病院 / 理事長兼院長 /
1952年12月の開設以来70年近くにわたり、神戸市の救急医療のなかでも脳卒中患者の診療を主に担い、急性期から回復期、在宅まで一貫した脳卒中治療を提供している。
診療科は、脳神経外科、脳神経内科、内科、循環器内科、リハビリテーション科

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