海に囲まれた日本は新鮮でおいしい魚介類がたくさんあり、鍋以外にも刺身や寿司など生で食べることがよくあります。そんな日本だからこそ発症しやすい疾患があります。それが、魚介類を生食することで起こりやすい食中毒「アニサキス症」です。冬でも危険です。
アニサキスは寄生虫(線虫)の一種で、幼虫は白く、幅は0.5~1ミリぐらい、長さは数センチ。サバ、アジ、サンマ、カツオ、イワシ、サケ、イカなどの魚介類に寄生。私たちが生で食べることで、幼虫が胃壁や腸壁に刺入して食中毒を引き起こします。
魚介類を生、あるいは生に近い形で食べた後、3~4時間後から十数時間後、激しい腹痛や吐き気、嘔吐があれば要注意です。人によっては蕁麻疹を伴うこともあります。
アニサキス症の多くがみぞおちの激しい痛みや悪心(おしん)、嘔吐などを伴う「急性胃アニサキス症」です。中には数日後、腸に侵入して「急性腸アニサキス症」を引き起こすこともあり、この時は激しい下腹部痛や腹膜炎症状などが見られます。
現在のところ、効果的な治療薬はなく、胃アニサキス症の場合は胃内視鏡検査時に胃粘膜に穿入する虫体を摘出します。腸アニサキス症は対症療法が中心で、時には外科的処置を施すこともあります。
予防するには、魚介類を生で食べる場合、調理の際には目視で幼虫の有無を確認することです。そして、魚の内臓は生では決して食べないことです。また、アニサキスは冷凍や加熱で死滅するので、マイナス20度で24時間以上冷凍するか、70度以上熱を通すか、あるいは60度の場合は1分間の加熱をするといいといわれています。
冬が旬の美味な魚介類もいろいろありますが、食べる際にはご注意ください。そして、症状があれば、早期に診てもらいましょう。