2022年に猫が生み出す経済効果、いわゆる“ネコノミクス”が約1兆9690億円に上り、東京マラソンの実に約73回分に匹敵するとの試算を、関西大学の宮本勝浩名誉教授が2月17日に発表しました。これまで多くの経済効果を計算してきた宮本名誉教授ですが、「1兆円を超えた例は非常に少ない。ネコノミクスの効果はそれほど大きいと言える」と驚いています。
2が6つ並ぶ超「猫の日」である2022年2月22日を前に試算しました。
宮本名誉教授はまず、国内で飼われている猫の頭数と、1匹の猫を飼育するのに必要な年間の費用(キャットフード代、医療費など)から、猫全体の年間飼育のための総費用を「9081億9792万円」と試算しました。ちなみに猫の新規飼育頭数は、2020年、2021年と増加傾向にあり、過去9年間の記録を更新し続けています。
さらに愛猫家の飼育費用以外の消費支出も推計。写真集やテレビなどの映像、猫グッズ、猫カフェなどの消費支出については、ネコノミクスが盛んに取り上げられていた2015年には約30億円とされていましたが、コロナ禍の影響を鑑みて「約20億円」と仮定しました。
そして、猫を目的とした旅行などによる消費支出です。和歌山電鉄貴志駅「たま駅長」が脚光を浴びて以来、全国で愛らしい猫の駅長や館長、店長などが続々と誕生。他にも、多くの猫が自由に暮らす各地の「猫島」も観光客誘致に一役買っていますが、これらもコロナ禍の影響を反映して「約13億9200万円」になると分析しました。
以上の要素から成る猫のための直接消費額の総計は約9115億8992万円で、そこに全国産業連関表を用いて経済波及効果を計算すると、「約1兆9690億円」になったといいます。
プロ野球球団の優勝による経済効果はほとんどが500億円以下で、日本最大の市民マラソンである東京マラソンも約231億円(2013年)であることを考えると、これは驚異的な数字と言えます。宮本名誉教授は「小さな猫の飼育の世話、費用は、それぞれの家庭にとっては小さなものだが、日本全体になるといかに巨大な金額になるかということがよくわかる。つまり、各家庭の小さな積み重ねが、日本経済を大きく動かす原動力になっている」とコメントしています。