アルコールが入ると“しまんちゅ”の血が騒ぐようだ。比嘉愛未(35)が主演する映画『吟ずる者たち』(3月25日公開)。吟醸醸造の父と呼ばれた三浦仙三郎の実話をベースに、極上の日本酒造りに奮闘する女性の姿を描く。本作を通じて日本酒へのリスペクトも高まったという比嘉が、沖縄出身ならではの意外過ぎる一面を告白する。
演じたのは、東京での生活に疲れ、実家の造り酒屋がある広島県安芸津へと帰ってくる永峰明日香。撮影は実際に広島の酒蔵で行われた。「ここは現代なの?と自分の目を疑うくらい、いい意味で時間が止まっていて、タイムスリップしたような気分になりました。酒蔵はどこか懐かしく、居心地もいい。日本国内に留まらず、世界中に知ってもらいたいと思うほど魅了されました」と酒蔵の観光地としての役割にも期待。
酒造りの工程も一から見学し、ときに参加することもあった。「お米を干す作業など、思った以上に力仕事。私の筋力では厳しい部分もありましたが、鍛えればできないこともない。昔は性別の壁もあったかもしれませんが、今はどんな仕事も“好き”という情熱さえあれば飛び込みやすい時代ですから」と発見もあった。
撮影が行われたのはコロナ禍前。それゆえ「みんなで食事の席を共にして、ときに日本酒を傾けながら語り合ったりして。酒造りの工程も体感しているので、いつも以上に日本酒をありがたくいただきました。コロナ禍になった今となっては貴重なひとコマ。スタッフ&キャストが撮影以外で共に過ごした時間の厚みも作品に醸成されているのではないかと思います」とかつてあった日常を懐かしんでいる。
お酒は結構いけるタイプ。酒席では自称“盛り上げ隊長”だ。「大好きな人たちと美味しいゴハンを食べながらお酒を飲むのが一番の幸せ時間。酔っぱらうと沖縄の踊りを踊り出したりして陽気になります。ときには盛り上げ隊長みたいになったりして…。基本的にネガティブな酔いではなく、場を明るくする楽しい酔い方をしています」。アルコールが入ると“しまんちゅ”スイッチが起動するようだ。
酒造りと作品作り。共鳴するものを感じている。「お酒も映画も、お客様に届かないと意味がない。作って終わり、では単なる自己満足。コロナ禍ではありますが、無事に全国公開も決まりました。どの作品もそうですが、お客様に届き、反応や反響をいただいて初めて完成です。それは役者という仕事のやりがいと醍醐味を感じる瞬間でもあります。作ったものを無事に届けたい。その思いはいつの時代も変わりません」と全国公開を楽しみにしている。