「海外では日本人以外の美容師にまかせると悲劇(本人以外は喜劇)」という仮説があります。そういえば、2021年秋の帰国時に話題になった小室圭さんの長髪ちょんまげスタイルも、「NYの床屋に行く勇気がなかったから」「在外日本人はロン毛になりがち」とSNSでささやかれました。そんな中、移住先のオランダで、女優大竹しのぶさんの画像を見せて「彼女みたいに!」とベリーショートをリクエストした人が。勇気ある女性に聞きました。
「海外で日本人以外の美容師にまかせられない説は本当か
海外で日本人以外の美容師にむちゃくちゃにされたって本当か
郷にいれば郷に従え
国が違えば美意識も違う❤️
めちゃくちゃかどうかの感覚は個人差ありますが
私はこうなった」
とツイートしたきもののtrico(トリコ)オランダ在住(@trico_kimono)さんが公開した4枚の画像。オランダでの初のカットに臨むにあたり、大竹しのぶさんの画像を見せました。「ベリーショート、プリーズ」と告げ、翻訳アプリでスタイリストに念を押し、悲劇(喜劇)の幕が上がります。バリカンは休むことなく動き続け、途中はモヒカン、そして見事な角刈りに仕上がります。店外で自撮りする男前になったきもののtricoさん。ビフォーアフターの変わりっぷりにユーザーが驚愕、6万近いいいねがつきました。
リプ欄には、「学生時代カナダでシャギーカットをお願いしたら サイドが見事な階段みたいな段差にされ、お年頃だったので泣いてしまった過去があります」「私も東アフリカのルワンダで髪を切った結果、こうなりました」と悪夢を呼び覚まされるユーザーが続出。日本のカット技術って高いんですね…。体を張って説を実証したきもののtricoさんに聞きました。
「先人たちの言葉は一理も二理も」
ー実証、おめでとうございます、と言っていいのでしょうか…
「正直言いますと、カット前は、『海外に行ったんだから、日本人にこだわらなくても』と思っていました。その結果がこうです笑。多くの人が同様の、もしくはいろんな体験をされているんだなぁと知ることができ、勉強になるやら、面白いやらです。先人の言うことはやっぱり一理も二理もあるなと思いました」
ーバリカンがサイドを刈り上げていくときの心境を。「ストップ!」と言いそうになったのでしょうか
「もちろん、なりました。腰を浮かせて立ち上がりたい衝動に駆られました。でも、オランダ語は話せないし、もともと今回はおまかせする!と決めたじゃないかと自分に言い聞かせました。何より、ものすごいスピードで刈り上げていたので、あれこれ葛藤している間に頭頂部まで進んでいました」
カットの場面を少し補足すると、その美容室は結局、細かいニュアンスとか微調整はハサミでとか一切なく、大切な前髪部分もバリカンでのカットだったそうです。所要時間は25分ほど。終了後、美容師は尋ねます。「Good Job?」。きもののtricoさんは返答します。「Good Job!」。ってどこがベリーショート? 板前さんやないかい!
ー憧れの人である大竹しのぶさんや綾戸智恵さん(ジャズシンガー)のようなベリーショートがリクエストでしたが
「本当。大竹さんや綾戸さんは全く関係ないのに、こんな話題にしてしまい申し訳ないです。でも、『憧れの人みたいにこうしてほしい!』と持って行くのは世界共通だと思います。国は違えどわってほしい!と思っていましたが、何をどう見ると、この髪型、フォルムになるのか…世界は広いです」
ー髪が伸びたらまたあのお店に
「次回は行かないです。もともと、オランダの懐に入ってみるための床屋体験でしたので。次は、オランダの田舎の美容院に行ってみようかなと思います。日本では当たり前のように美容院を比較し、口コミを見て、良い感じにしてもらってきましたが、本当に高い技術レベルだったということを実感しました」
2021年10月、オランダに移住
移民を積極的に受け入れているという多国籍国家オランダに、きもののtricoさん一家が移住したのが2021年10月のこと。当然のこととはいえ、日本とは異なる文化や環境に毎日が新たな気づきの連続といいます。
「今まで日本でこだわっていたこと、子どもたちを叱っていたこと、本当に必要かな?と考えさせられるようになりました。学校では、話せない子どもだけではなく、親へのサポートも用意されていて、親子ともども育ててもらっています」
英語もオランダ語も十分でないため、周囲の人たちとはコミュニケーションは限られますが、顔を合わせるうち笑顔の挨拶が広がっていくといいます。日本人であることが伝わると、好意的に話してくれることが多く、日本のイメージの良さ、日本の魅力を再認識することもできたそうです。
「着物を通してオランダそしてヨーロッパの人達にもっと日本を知ってほしいという思いで着物のお店を始めました。着物の認知度は高いとはいえ、ほとんどの人にとっては興味のないことであり、中国と日本の違いすら分かってない人もいます。だからこそ、やる意味があるし、少しずつ認知度が上がったら嬉しいなと思います」
違っていて当たり前、日本ではない国、オランダを楽しむきもののtricoさん。次回のオランダ体当たりエピソードが楽しみです。
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呉服屋に勤務するなど着物歴20年というきもののtricoさん。「着物で世界とつながりたい」という夢を叶えるため起業した店は、レンタル、撮影、着付け、販売、着付け教室、イベントなどに対応しているそうです。
オランダ 着物 晴レル屋 Hallelujah KimonoのHPはこちら→https://orandakimono.com
母子で移住することにした思いや毎日の出来事、本音をブログで公開中。「子育てやワンオペに悩む方、オランダや海外移住に興味がある方とつながれたら」と話しています。
トリコトのHPはこちら→https://tricotmarket.com