1916(大正5)年創業の東京・築地にある老舗かつお節問屋「秋山商店」が公式Twitterアカウント(@akiyama1916)にこんな投稿をしました。
「鰹節は冷凍保存が1番です!酸素と温度が嫌いな鰹節は常温において置くと2、3日で香りがなくなってしまいます!なるべく空気を抜いて冷凍庫に入れて保存してください!凍らないのでそのまま使えます!」
えっ、かつお節って冷凍庫で保存できるんですか? 投稿した秋山商店社長の娘さんで入社4年目の秋山真裕子さん(26)に電話で話を聞きました。
店頭でも驚く人多数「凍っちゃわないの!?」
──かつお節が冷凍できると初めて知りました。
「店頭でもお客様に説明すると、びっくりされる方が多いですね。『かつお節が凍っちゃわないの!?』と驚かれますが、乾物なので大丈夫ですと答えています」
──具体的に保存方法は。
「うちの店頭販売の場合、紙袋にお包みしていて、紙袋の外側にポリ袋を掛けて、口は開けた状態でお渡ししています。なのでなるべく空気を抜いて、袋の口を閉じて、そのまま冷凍庫に入れてもらって大丈夫です」
「もし気になるようでしたら、上からジップロックなどの冷凍用保存袋に入れてもらったらいいかなと思います。ただし、別の容器などに移し替えると、かつお節の粉が舞ってしまい家の中が大変なことになってしまうので、移し替えずに上から袋をかぶせて密封保存してもらったらいいかなと思います」
──パックのかつお節は?
「パック袋の商品は、未開封であれば常温保存が可能です。かつお節は酸素と高い温度が苦手なので、パック商品には中に窒素が入っています。封をあけなければ酸素が入ってこないので、そのまま常温保存で大丈夫です。封を開けたら、冷凍庫に入れて保存がいいかなと思います」
「かつお節はそのまま食べてもおいしいですから」
「秋山の娘なので、生まれた時からかつお節に囲まれて育ってきた」という秋山さん。インスタグラムやTwitterの投稿も担当し、「秋山さんちの作り置き」など出汁の取り方や出汁を使った簡単レシピも披露。若い世代へかつお節の発信を続けています。
──春からひとり暮らしの人も多いと思います。料理初心者でもできる出汁の取り方はありますか?
「1リットルのお湯にかつお節をひとつかみ30gぐらいさっと入れて、かつお節が沈んだら火を止めて、こしてもらうのがシンプルな取り方ですね。途中、箸で混ぜてもいいです。キッチンペーパーで搾ってもいいです。板前さんによっては搾るんじゃないと言われる方もいますが、家庭料理では全然気にしなくて大丈夫です」
──出汁を取ったあとのかつお節は?
「定番はふりかけや佃煮ですが、秋山家ではカレーなどに入れます。粘性のあるものなら舌触りも気にならず、タンパク質摂取にもなります」
──かつお節に対するハードルが少し低くなりました。
「出汁はそのままでも飲めるものです。これをやっちゃったから使えませんということもありません。味が薄かったら、またお湯を沸かして足してもいい。一度試して味の濃さや薄さをみながら、場合によってはかつお節の種類を変えながら、自分の好きな味にしていったら、それが家庭の味になるのかなと思います。かつお節って扱いが大変なものではなくて、そのまま食べてもおいしいぐらいですから、ぜひぜひチャレンジしてみてください」