本格的な寒さとなった1月。先日は都内でも降雪があり、立ち往生するクルマもチラホラ見かけ、一部の高速道路や幹線道路が通行止めになる事態も発生しました。万が一雪が降り積もってしまったらサマータイヤで走行するのはとても危険ですし、2018年に改正されたチェーン規制では、スタッドレスタイヤでもチェーン規制発令時にはタイヤチェーンを装着しないと規制対象区間を走れなくなりました。
幕張メッセで開催された「東京オートサロン2022」で、タイヤに履かせる靴下の「スノーソックス」という便利なアイテムを発見しました。スノーソックスは新チェーン規制対応で圧雪、深雪、アイスバーン、シャーベット状などあらゆる路面に対応した「布製タイヤチェーン」のこと。
素材には通常のポリエステルの10倍もの耐久性がある特殊繊維を採用し、超高強度で耐摩耗性、耐光性に優れ、吸水による劣化もありません。繊維でできているためホイールやクルマを傷つけず、走行中も静音で振動も少なく、汚れたら洗濯機の手洗いコースで洗え、陰干しすればOKという手軽さもポイント。
布製タイヤチェーンは、なぜ滑らないのか?
布製チェーンがなぜ滑らないのかというと…▽布製チェーンが圧雪や凍結した路面の雪や氷を摩擦熱で溶かす▽布が水分を吸収▽湿った布が路面で冷やされると、布と路面が張り付く「凍着現象」が起こる…といった仕組みだそう。冷凍庫にある氷に指を触れると、氷と指がくっつくのと同じ現象です。
スノーソックスを開発、製造しているのはスペインのISSE社で、布製チェーンメーカーとして20年以上の実績と経験があります。またレーシングスーツやフルバケットシートなどモータースポーツで使用するアイテムを主に取り扱っているスパルコともコラボして販売しています。スパルコのスノーソックスをネット販売している、PARTS.CO.JP株式会社の担当者によると、スノーソックスの取り扱いは2019年からで、当時は認知度が低かったものの、2021年からメルセデス・ベンツやBMWなど欧州のメーカーが純正アクセサリーとして採用したことにより人気が出たそうです。
耐久性については、実際に使っているユーザーがスキーやスノボに年間5回くらい行き、今年3シーズン目に突入しているがまだ破れていないとのこと。ただし耐久性があるといってもポリエステル繊維のため、雪のないアスファルトや砂利道は苦手なので、道路状況に応じて着脱するという使い方がいいでしょう。
価格は2足1セットに手袋付きで税込1万4000円~。サイズはS、M、L、XL、XXLで、13~22インチのホイールまで対応。装着はジャッキ不要で3分程度で着脱でき、多少曲がって装着しても走行することにより自動的に補正しセンターリングされるため履き直しは不要です。
「東京オートサロン2022」の同社のブースでは、ホンダ シビックタイプRにスノーソックスが装着されていました。タイヤチェーンは駆動輪にのみ装着するのが基本ですが、4輪に装着することで制動距離が縮まるため、FF(前輪駆動)のシビックでも4輪装着が効果的だそうです。
従来からある金属製のタイヤチェーンは安価なのですが、装着が大変でホイールやボディを傷つける恐れがあり、走行音や振動も大きく雪や氷がないところでは路面を傷つけてしまいます。非金属チェーンはゴム、ウレタン、TPUなどの柔らかい素材を使っていて、金属製チェーンよりは取り付けは簡単ですが、価格はピンきりで金属製よりは高め。
布製チェーンのスノーソックスは軽量、コンパクトで邪魔にならないため、いざというときの緊急脱出用アイテムとしてクルマのトランクに常備しておくのもいいですね。