「僧侶なのに除霊も出来ないのか!?」と理不尽な要求をされたという僧侶の体験談がSNS上で大きな注目を集めている。
「『僧侶なのに除霊も出来ないのか!?』
と言われた事があるが、それって
『蕎麦屋なのにラーメンも出せないのか!?』
ってくらいめちゃくちゃな言い分だと思う。」
と件の体験談を紹介したのは真言宗の僧侶で和太鼓奏者としても活躍する末僧龍誠さん(@syamonryusei)。
その人にとっては霊に一番近いイメージの職業が僧侶だったのかもしれないが、実は仏教界すべてが霊魂や除霊という行為を認めているわけではない。僧侶とは別に悪霊をはらうための職業ではないのだ。末僧の嘆きの投稿に対し、SNSユーザー達からは
「それ陰陽師の仕事ですよね…w」
「キリスト教系の学校で幽霊騒動があった話を聞いたことがあります。
キリスト教では幽霊はいないことになってるそうで手も足も出ず、お坊様を呼ぼうかという話になったとか。」
「除霊って行為はどこから生まれたんでしょうね?
お寺側発信なんですかね?
どこでそんなイメージ付いたんでしょうね
ちなみに真宗のうちのお師匠はそう言う案件来ると念仏唱えた後病院行ってお注射打って貰いなさいと宥めてました(笑)
大概疾患でしたからね」
「私は占い師ですがたまーに除霊お願いしますって言われます。申し訳ないですがここは占いの館なんだけど…って思います。
それに何かに取り憑かれるのは取り憑かれるだけの理由もあるはずなのでまずはその根本を解決して供養することが大切ってことに気づかなければ一生治らないと思います。」
「蕎麦屋さんて基本的に、つゆ・出汁・麺類(小麦系も打てる)の総合スペシャリストで
昔何かで読んだけど、たしか昭和40年代ではラーメンも出したお店も結構あったらしくて
言い分には矛盾はないかなと(蕎麦屋さんリスペクト的な意味で)」
など数々の方向からの感想が寄せられている。
末僧さんにお話をうかがってみた。
ーーこの言葉をかけられたシチュエーションとは?
末僧:結構前ですが友人と話してて言われました。1990年代、心霊番組全盛の時に霊能力者で僧侶の織田無道さんが出ていたのが強烈な印象があったので、僧侶は除霊が出来るというイメージが付いたようです。
ーー末僧さんが所属しておられる真言宗に除霊という概念はあるのでしょうか?
末僧:そもそも除霊という言い方はあまりしません。頼まれれば精一杯お勤めは致しますが、それは「供養」であったり「ご祈祷」という形になります。
微妙にニュアンスが違いますが、例えば私の場合は「私には霊が憑いているんです」と言われれば御供養、「嫌な事が続いて、何か憑いてるかもしれません」と言われれば除災招福のご祈祷というような形でさせていただいた事はあります。
ーー除霊の件以外にも「僧侶なのに…」と言われて困ることはよくあるのでしょうか?
末僧:多々あります(笑)。「肉食べて良いの?」「酒飲んで良いの?」「結婚して良いの?」などは何万回も聞かれたので慣れっこですが、最近だと「僧侶がSNSやって良いの?」「僧侶がスマホ持って良いの?」なんて言われます。TikTokでも色々配信しているので、そこでのコメントが多いですね。
ーーこれまでのSNS上での反響についてご感想をお聞かせください。
末僧:この話題がここまで伸びるとは思わなかったのでちょっと困惑しています。ただ引用リツイートの半数近くは「近所の蕎麦屋はラーメンも出すよ」「山形ではラーメンが有名な蕎麦屋があるよ」などと、言いたい内容とちょっと違う受け取り方をしたので、もう少し考えてツイートすれば良かったと反省しています。一番言いたかったのは「僧侶=霊能力者」というイメージがあるけど、それは実は畑違いなんだよということを伝えたかったです。とはいえ、皆様のリプライを見て良い勉強になりました。
◇ ◇
なかなか理解されにくい僧侶という職業だが、末僧さんのこの体験談により少しでも世間の認識が新たになってほしいものだ。
なお、今回の話題を提供してくれた末僧さんは日ごろTwitter、TikTokなどSNS上で仏教について盛んに情報発信。YouTubeチャンネル「末僧 龍誠のまったり寺」でも祈願太鼓の演奏動画や"お坊さんあるある"動画を公開している。
一つ一つが心のこもった見ごたえのあるコンテンツなので、ぜひ多くの人がご覧になっていただきたいと思う。
末僧龍誠さん プロフィール
真言宗の僧侶。"太鼓僧者"と名乗り、和太鼓奏者としても活躍している。
座右の銘は「万事塞翁が馬」
Twitterアカウント:https://twitter.com/syamonryusei
YouTubeチャンネル「末僧 龍誠のまったり寺」:https://www.youtube.com/channel/UCOcdV1tmE4_Zfl-3TPQI5WA