「白黒はっきりさせたい性格」は、過去の虐待が原因だった!? 不仲の両親に育てられて身についた「生き方」

長岡 杏果 長岡 杏果

シングルマザーとして2人の子どもを育てているAさん(30代・会社員)は、いつもはきはきとしていて、自分の意見をしっかり相手に伝える人です。普段から物事に白黒をつけ、サバサバとした性格は「まるで竹を割ったようだ」と周りから言われていました。しかし、そのはっきりとした性格は、実は過去の虐待によるものだったといいます。一体Aさんの性格のどこに虐待による影響があったのでしょうか?

物心ついた頃から両親は不仲だった

Aさんは3人兄弟の長女として生まれ、年子の妹と年の離れた弟がいるそうです。両親が共働きだったため、Aさんは小さいころから弟妹の面倒をみていたそうです。Aさんの両親はあまり仲がよくなかったそうで、子どもたちの前でもけんかをすることが多く、そのたびに幼い妹たちを別室に避難させていたといいます。

「妹たちだけ?Aさんは避難しなかったの?」と聞くと、「私は両親に呼ばれてけんかの仲裁をしなくてはいけなかったの。じゃないと父は大きな声で怒鳴りだして、それでさらに妹たちがおびえてしまうから」とAさん。いつも両親のけんかに巻き込まれ仲裁をしていたそうです。Aさんは両親から「どっちが悪い?」とまるで閻魔大王のように善悪をつけさせられ、その返答次第で時には手をあげられることもあったといいます。

両親と距離をおくことが怖い

幼いころから両親のけんかを仲裁する役割を求められたAさん。これは大人になってからも変わらなかったといいます。両親だけではなく、親族間でなにかトラブルが起きると必ず間に入らなければならず、ずっと苦しかったと話します。

さらに離婚後、シングルマザーになってからは、やむを得ず子どもたちの世話を両親にお願いすることもあり、両親と距離を置くことはなかなかできなかったそうです。

「私が両親と距離を置くと今度は妹たちが苦しい思いをするかもしれない。そう考えると私が我慢するしかないなって」

しかし、Aさんは両親のこととなると体に不調が出るようになっていったといいます。

体に不調が出て、臨床心理士に相談すると…

そんなAさんは、あることがきっかけで両親とけんかになり、その後一切の連絡を絶つことにしたそうです。それをきっかけに、ある日臨床心理士に相談すると、思いもしなかったことを言われたのだとAさんは話します。

「両親が私にさせていたことは、世の中には白と黒しかないって認識させること。そして両親のけんかをずっと見せられてきたのは『虐待だ』って言われたの。私が白黒はっきりつけたがる性格も幼いころから『グレーはない、どちらかが必ず悪者だ』と植え付けられてきたからなんだって。自分の思いが伝わらないときに『どうして、私の気持ちを受け入れてくれないの?』とわかってもらおうとするのもその影響。みんながよく捉えてくれていた『竹を割ったような性格』は虐待から来ていたものなんだって言われて…なんだか自分がよくわからなくなってしまったの」

子どもには私のような気持ちにさせたくない

現在もAさんは周りから「気が利く」「周りをよく見ている」「はっきりした性格」と言われることが多いそうです。しかし、それはAさんが幼いころからつらい思いをしてきたことで身についた「社会での生き方」でした。

Aさんは「子どもたちには私のような気持ちにさせたくない」と考え、子どもたちに物事を伝えるときはできるだけ感情的にはならないようにしているそうです。しかし「私が幼いときはこんなこと許されなかった!」という感情がよみがえって来ることもあるそうで、そのときはいったん別室に行きクールダウンするように心がけているそうです。

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