全国宝石卸商協同組合(東京都千代田区)が63年ぶりに日本の誕生石の改訂を発表した12月20日、Twitterのトレンドワードにはアレキサンドライトやモルガナイト、クンツァイトなど、追加された宝石の名前が続々とランクインしました。ユーザーからは「選択肢増えてうれしい」「アイオライトすごくきれい」「買おうかな」「自分の誕生月は追加なかった…」など、さまざまな反応が寄せられました。
その中でも多かったのが「7月のスフェーンって何?」「スフェーン知らない」「どんな石?」という声。
同組合によると選考理由は「新しく追加した誕生石は近年に発見された美しい宝石であり、その発見者や名称にちなんだ人々の誕生月に重きを置き誕生石の参考にさせていただきました」。
そこで同組合が発表した、日本オリジナルの5つの誕生石、クリソベリル・キャッツ・アイ、アイオライト、モルガナイト、スフェーン、クンツァイトの解説と選んだ理由を紹介します。
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【2月:クリソベリル・キャッツ・アイ】クリソベリル(金緑石)のシャトヤンシー(キャッツ・アイ効果)を持つ古くから知られている宝石です。和名で猫目石と呼ばれています。2月22日は日本では猫の日、2月17日はヨーロッパの多くの国がWorld Cat Day(世界猫の日)としている日です。 非常に有名な宝石であり、目がでるなど良い意味も含み、また猫に関連するため、2月の誕生石としました。
【3月:アイオライト】鉱物名コーディエライトの⻘色の変種です。アイオライトはギリシャ語のios(紫色)とlithos(石)に由来しているとされています。和名で菫⻘(きんせい)石です。強い三色の多色性があり、方向により⻘紫色、灰⻩色、淡⻘色がみられます。コーディエライトは地質学者ピエール・ルイ・アントワーヌ・コルディエに因んで名付けられました。モース硬度も7−7.5と高く、綺麗な宝石であり、彼の誕生月が3月なので、3月の誕生石としました。
【4月:モルガナイト】鉱物名ベリルの変種で、ピンク色から淡紫色の色合いを持つ宝石です。モルガナイトは比較的、無傷で大粒の石が産出されています。1911年にアメリカのモルガン財閥の創始者であるジョン・ピアポント・モルガンに因んで名付けられました。彼の誕生月が4月であり、日本を代表する桜の花の色合いを持ち合わせているため、4月の誕生石としました。
【7月:スフェーン】鉱物名チタナイトとも言います。結晶の形がくさび形になるためギリシャ語の楔(くさび)であるスフェノス(sphenos)に由来し名付けられました。そのため和名で楔石と呼ばれています。楔はふたつのものを固く繋ぎ合わせる絆(きずな)の意味も持ちます。1787年にマーク・オーガスト・ピクテによってスフェーンが新種の鉱物として初めて認識されました。スフェーンは輝きが強く日本の夏の森のような色合いを持ち、彼の誕生月が7月であるため、7月の誕生石としました。
【9月:クンツァイト】鉱物名スポジュメンのうち、ピンク色から紫色をした変種です。多色性があり、色の濃いものでは方向により紫色、ピンク色、無色の三色がみられます。1902年に発見され、鉱物学者ジョージ・フレデリック・クンツにちなんで名付けらました。澄んだ透明感のあるピンク色は人々を魅了させる事のできる宝石です。彼の誕生月が9月であることに因んで、9月の誕生石としました。
(全国宝石卸商協同組合「日本オリジナルで新しく誕生石として追加した宝石について」より)
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同組合では20日、誕生石の一覧検索ページを新設。全国宝石卸商協同組合サイト内「新・誕生石」から閲覧できます。