「大学生で衆院選の日程を知っている人は0人説」 検証するとやはり…衝撃の結果に

浅井 佳穂 浅井 佳穂

 同志社大生で衆院選の日程を知っている人はゼロ-。若者の政治参加を促すNPO法人の大学生たちが、こんな仮説を立てて動画を制作し、検証しました。結果は本当に0人という衝撃の展開。現状をどう受け止めればいいのか、若者に投票に行ってもらうにはどうすればいいか、制作に携わった学生に聞きました。

 動画を制作したのは、若者の政治参画に取り組むNPO法人Mielka(ミエルカ、京都市上京区)のメンバー。衆議院解散の翌日の10月15日に、メンバーが同志社大今出川キャンパス前(同区)の道路に立ち、9人の大学生らに衆院選の投開票日(10月31日)を知っているかインタビューして撮影しました。

 最初の男子学生2人組は「知らないですね」「僕も全く分からないですね」と回答。次の男子学生1人も「分からないです」。その後も「たぶん2週間後くらい」「全く分からない」といった答えが続き、結果的に男女9人ともが「10月31日」と正答できませんでした。

 動画を撮影したミエルカの学生代表で同志社大3年の池邊亮輔さん(21)に聞きました。

 -「0人説」は冗談半分ではなく、本当にゼロだと思って予想したのですか。

 「はい。本当に0人と思って予想を立てました」

 -30代後半の私からするとかなりショッキングな結果です。

 「0人という結果は、ミエルカの内部では『そんなもんだよね』と言っていました。ミエルカの活動をしていなかったら、僕自身も投開票日を知らなかったかもしれません」

メディアの情報は届いていない

 -なぜ大学生は正確な投開票日を知らないのでしょうか。

 「メディアの情報は大学生には届いていません。一人暮らしの学生でテレビを持っている人は少なく、ニュースを見ない人が多いです。新聞を読む人はもっと少ない。スマートフォン向けニュースアプリもありますが、あまり開かない。日常の中で投開票日の情報が入る機会がないのです」

 -若者は政治に興味はないのでしょうか。

 「若者は政治に関心はあるものの、選挙への関心は低いという調査があります。選挙となると投票所の場所を知らなかったり、(投票所入場券の持参など)投票の手続きが煩雑に見えたりして関心が下がります」

 -どうすれば若者の政治への関心を高められるでしょうか。

 「選挙に行ったら制度が変わるかもしれない、という期待が重要だと思います。フランスでは(連帯市民協約、PACS)制度の導入によって出生率が上がりました。制度が社会を変えることもあると知ってもらいたいです」

 -投開票日を知ってもらうために、何をすべきだと思いますか。

 「日付の連呼だと思います。選挙のニュースは多いけれど、投開票日がいつかは見ただけでは分からないものが多いです。期日前投票もできるので『10月31日までに投票しましょう』と投開票日を連呼してほしいです」

オフラインの発信が大事

 -最近では報道機関や各地の選挙管理委員会が若者を意識してSNSを使った発信に力を入れています。

 「SNSは見たい情報しか表示されません。こういうときこそオフラインの情報発信が大事だと思います。例えば、バスの車体広告は有効です。東京だと渋谷駅前のハチ公の銅像に投開票日を記したたすきが掛けられています」

 -10月31日の投開票日まであと数日。ミエルカはどう動きますか。

 「35歳以下や学生を対象に選挙や政治を考えるイベントを開催します。あとは(政党マッチングサイト)『JAPAN CHOICE』のQRコードの入ったコースターを配布して啓発していきたいです」

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