猫と遊ぶ時、レーザーポインターなど光るものを使うことがありますか?実は、ある研究で、そうした光を使って遊ぶと、猫が強迫性障害になりやすいということが分かったそうです。獣医師のにゃんとす先生に話を聞きました。
レーザーポインターを遊びに使うと行動異常に
--どんな研究でレーザーポインターと猫の異常の関係が分かったのですか?
「コロラド州立大学では猫の飼い主を対象に、『猫との遊び方』についてのアンケート調査を実施しました。618人分のアンケート結果を解析したところ、レーザーポインターを使った遊びの頻度と、さまざまな行動異常との間に明らかな関連が認められたそうです。アンケート調査から導き出した相関関係ではありますが、レーザーポインターを使った遊びが行動異常の発生と関連している可能性があることを示しています」
猫の行動異常ってどんな症状?
--どんな異常が起きるのでしょうか。
「同じ行動を繰り返す行動異常のことを『強迫性障害』と呼びます。人間の強迫性障害は手洗いが止まらない、何度も鍵をかけたか確認してしまい外出できないといった症状が出ます。猫でも特定のおもちゃに固執する、光や影を執拗に追いかけてしまう、自分の体を舐め続けてしまう、布や衣服を食べてしまう、しっぽを追いかけ回し噛み付いてしまうといった人の強迫性障害に似た行動異常が起こります(動物では常同障害といった言葉を使うことが多いです)」
--レーザーポインターなどで遊ぶ猫と遊ばない猫では、どんな違いが見られたのでしょうか。
「一部数字を紹介すると、週に数回『特定のおもちゃに強く固執する』と回答した飼い主の割合は、レーザーポインターを一切使用しないと回答した飼い主では26%であったのに対して、月に一回以上使用すると回答した飼い主では44%でした。また『光や反射に執拗に凝視する』と回答した割合はレーザーポインターを使用しない飼い主では11%、月一回以上使用する飼い主では35%でした。『尻尾を追いかけて回る』や『光や影を執拗に追いかける』でもレーザーポインターとの使用回数との相関が認められました」
レーザーポインターではなく猫じゃらしを使う
--レーザーポインター以外の光でも行動異常が起きるのでしょうか。
「レーザーポインター以外でも光を追いかける遊びには同様のリスクが存在する可能性があります。猫には狩猟本能が残っています。飼い主とっては遊びでも、猫にとっては立派な"狩り"です。そのため、猫の狩猟行動の一連の流れである身を隠す→追いかける→捕まえる(→食べる)を遊びの中にも再現してあげることが重要です。猫じゃらしなどの他のおもちゃで遊ぶ際も数回に一回は猫に捕まえさせてあげて、狩りを成功させてあげたほうが良いでしょう」
--もし行動異常が見られたら治療法はあるのでしょうか。
「治療にはお薬を使うこともありますし、ストレスの原因を取り除くことも大切です」
▽にゃんとす先生
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