「上海」…この名字、読めますか? 姓氏研究家・森岡浩氏が日本人の難読名字を紹介します。
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長野県にある名字で、「うえうみ」でも「かみうみ」でもなく、もちろん「しゃんはい」でもない。「上」も「海」も音読みにして、「じょうかい」と読む。とくに難しい読み方をするわけではないが、初見では「じょうかい」と読むとは思わない。
長野県飯山市は伝統工芸品の飯山仏壇で知られる。この仏壇の老舗の一つが上海家である。
上海家は越後国の出。現在の村上市の三面川北側の日本海沿いに、上海府(かみかいふ)という地区がある。ここから信濃国飯山に移り住み、出身地の上海府に因んで越後上海(じょうかい)屋と号して仏壇商を始めたのが祖。
以後代々続き、明治になって戸籍に登録する際に、屋号から「上海」を名字にしたものだ。
創業300年、現在まで11代続き、今でも飯山市で上海本店として仏壇商を経営している。